第3の選択肢として浮上したChromebook
世間が(私だけ? ^^;)M1 Macの件で浮かれている間に、Googleは着実に勢力を伸ばしていました。
Strategy Analyticsの調査によると、2020年第4四半期(10月-12月)におけるラップトップの販売シェアにおいて、Chrome OSのシェアは16.4%で、macOSのシェアは9.1%だったということです。また2020年通年ではChrome OSは14.9%で、macOSは8.7%だったということです。macOSも第4四半期はシェアを伸ばしてはいるのですけれど、Chromebookのほうが伸び率は大きかったようです。こちらにはさらに詳しい数字が出ています。
Global Notebook Shipments Grew 54 Percent in Q4 2020, Chrome OS Registered Highest Growth
これによると、ノートブック全体でも前年同期比で54%増ということで、明らかにコロナ特需ですね。スマホ/タブレットに食われてPCの出荷台数は横ばいが続いていましたが、やはり家で仕事/勉強をするにはラップトップで無いと、ということなのでしょう。タブレットの出荷台数も増えているようですが、キーボードが必要な場面もあるということでしょうか。
2020年の出荷台数は2019年比で10倍、今年(2021年)も前年比8割の増加が見込まれています。元々のシェアが他国に比べて低すぎたということもありますが、完全にメインストリームになってきたということでしょう。記事にもありますが、コロナ禍でのリモート授業用に導入が進んだことが大きいようです。
「第3の選択肢」としてのChromebook
Chromebookは、Chromeブラウザ「だけ」が動くノートPCです。LinuxベースのOSとChromeブラウザからなるChromeOSだけがインストールされ、他のアプリはインストールできません。ユーザーデータもデバイス内には保存せず、クラウドに置きます。このため、ハードウェア的には最小限のCPUとメモリしか必要とせず、OS(ChromeOS)のライセンス料もかからないことから、非常に低コストに作ることが可能で、消費電力も低くなります。日本では2万円前後から、アメリカだと$130くらいから購入できるようです。
Chromebookは元々Chrome以外のアプリをインストールできず、データもローカルには持たないため、非常にセキュアなデバイスです。アプリがインストールできないということは、ウイルスも入り込めないことを意味します。(完全に大丈夫とは言いにくいでしょうが、他のOSよりも困難ではあるでしょう)ChromeOSの誕生自体が最近ですから、基本設計にこれまでのセキュリティの知見が生かされているということもメリットです。
これまで日本ではあまり普及が進んでいるとは言えなかったChromebookですが、欧米では元々教育用/オフィスワーカー向けに大きなシェアを持っていました。一般的な事務職の方であれば、オフィスソフトが動いて、Webサイトをチェックでき、メールを読めてさらにいくつかの業務上必須のアプリさえ動けば十分という人も沢山居るはずです。今ではさまざまなアプリがWebアプリとしてブラウザ上で利用できるようになっており、そういった方々にフルスペックのPCが必要かというと、そうとは限らないわけです。特に、職種によって業務が細かく規定されている欧米企業では、さらに明確に必要な機能を特定できるでしょう。そうなると、「その職種に必要なアプリを動かすのに最低限のスペックを備えたPC」であれば十分です。Office365など、業務上重要なアプリがWeb対応したことも大きく影響しているでしょう。
私のような古くからのPCユーザーは、どうしてもキーボードが無いと落ち着きません ^^; し、業務上キーボードが必要、という人は多いはずです。コストやセキュリティ面でノートPCよりも優れ、タブレットよりも高機能なChromebookは、ローエンドPCユーザーの新たな選択肢となっているのです。PC、タブレットに代わる、あるいはWindows、Macに代わる新たな選択肢として、今後は日本でもChromebookの普及が進んで行くでしょう。
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