基幹系はずっとオンプレで商用RDB!? ~変化を嫌う日本企業
昨年は政府がクラウドファースト戦略を打ち出したり、経産省が2025年の崖としてレガシーシステムの刷新(とクラウドへの移行)を促したりしていますが、ガートナーの調査では、企業側では改革への動きはそれほど盛り上がっていないようです。
2023年になっても日本企業の基幹系システムの80%はオンプレミスで商用RDBを使い続ける。臨機応変なデータ分析ツールはExcelであり続ける。ガートナーの予想
この中で、
2023年を迎えてもなお、日本の大企業における基幹系システムの80%が商用のリレーショナル・データベース管理システム (RDBMS) を使い、オンプレミスで運用し続ける
とあります。やはり、変化を恐れるというか、好まないというか、嫌うのが日本流なのでしょうね。実際、
商用リレーショナルデータベースのライセンスや保守にかかる費用が高額なため、オープンソースのリレーショナルデータベースへ切り替えたいと考える企業は多いものの、移行にかかる費用や障害発生時の対応に関するリスクを考えると実施できない、という企業が圧倒的多数を占めている
ということなのだそうです。「わかっちゃいるけど、やめられない」というところでしょうか。
「2025年の崖」までにレガシーシステムを刷新してDXへ、という(別に、商用RDBイコールレガシーというわけでもないのでしょうが)経産省の望みは、実現の可能性は低そうです。もっとも、だからこそ異例の提言を行ったのだろうと見ることもできます。
Excelも強い
それにしても、Excelの強さも際立っています。BIツールがこれだけ出回ってきている中で、まだまだExcelは頼りにされているのですね。記事には、BIツールはIT部門主導で普及しつつあるが、業務要件から外れた場合にはExcelに頼ると書かれています。現場担当者が使いやすい小回りの良さがうけているのでしょう。しかし、
Excelを利用したデータ分析は手軽に始められる一方で、多くの労力を要する、ミスが発生した場合の発見が難しいなど、さまざまな弊害も及ぼします。
ということで、
Excelを利用したビジネスユーザーによるデータ分析を今のまま放置すると、適正なビジネス推進が阻害される恐れがある
とガートナージャパンは警告しているのだそうです。しかしこれもまた、なかなか変わりそうにない部分ではあります。
Amazonは1秒間に1.6回デプロイする
現場(IT部門)は、機嫌良く動いているものはなるべく触りたくない、と考えるのは世界中同じでしょうが、海外では経営陣からコスト削減とか効率化のプレッシャーがかかります。日本では、経営者もIT部門から「下手に弄って何かあったら困る」と言われれば強くは言えない、という傾向があるのかなあ、と思います。「変えるのが苦手」というマインドセットをまずは変える必要があるのでしょうね。
DXの最先端たるAmazonでは、「複数のデータセンターにまたがる非常に多くのホスト全体」に対し、様々なソフトウェアを年間5,000万回(1秒間に1.6回)デプロイしている、ということです。これは衝撃的な数値ではないでしょうか。
これは2015年の記事ですので、今ではもっと多いのかも知れません。このスピード感がDXなのです。もちろん企業の基幹システムとそのまま比較はできませんが、4年後でも80%が今のシステムを変える気が無い、と言う状況は、経産省で無くても心配になります。