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Windows Phone の開発終了は新たなプラットフォームへの戦略転換なのか

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先週、MicrosoftがWindows Phoneの開発を事実上終了している、という記事が流れました。

Microsoft、ついにWindows Phoneの終了を確認

「Windows Phone」は事実上終了した模様。Windows部門リーダーが明かす

正式発表ではないようですので真偽は不明ですが、開発責任者がここまで明確にツイートしているのですから、多分本当なのでしょう。記事にもありますが、Windows Phone、売れてませんからねえ。。

ただちょっと気になるのは、記事によってWindows PhoneとWindows 10 Mobileがごっちゃになっているところです。Windows Phoneはとっくに終っていて、今年7月にサポートも終了しました。現時点でのスマホ用OSはWindows 10 Mobileのはずですが、それが終ると言うことで良いのですよね。。

それにしても、6月にこんな記事が出たばかりだったのですが。

Microsoftが新モバイルOSとデバイスを開発中か Windows 10 Mobileのリベンジへ

まあ、まだ本当かどうか微妙な段階ですが、本当だとすれば、私としてはちょっと残念です。iPhoneとAndroidの2強に闘いを挑めるのはMicrosoftしかいませんでしたし、既存のWindows環境との親和性の高さから、企業向けスマホという位置づけではそれなりのメリットがあると考えていました。ただ、いろいろ考えるとそれも仕方ないのかな、とも思います。

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「諦めない」Microsoftからの転換も、ナデラ流?

Microsoftは過去、いったん出遅れてライバルに差を付けられても、しつこく追いかけることで遅れを挽回し、最終的には打ち勝ってしまうということを繰り返してきました。WebブラウザでNetScapeに遅れたとき、クラウドへの移行が遅れたときも、後から圧倒的な物量で巻き返してきました。スマホでもそれを狙っていたはずです。(というか、Microsoftはモバイルデバイス用OSは1990年代からやっているので、決して出遅れているわけでも無いのですが)

ゲイツやバルマーの時代なら、まだまだ続けたかも知れませんが、これもまた、ナデラCEOの判断なのでしょうね。これ以上スマホのプラットフォームやってもしょうがない、と思ったのではないでしょうか。スマホにまだ芽があるなら、絶対諦めないと思うんですよね。人もカネもある会社ですから。しかし、止めた。Microsoftは「その先」を見始めたのかもしれません。

クラウドなら、CPUやOSは何でも良い

そもそもクラウドには、プラットフォームの抽象化という側面があります。クライアントサーバーシステムは、ベンダーの独自技術を中心に構築されていました。プロトコルとか外部との接続などがありますから、まるっきり独自というわけにもいきませんが、少なくともWindowsベースのクラサバにLinuxとかMacintoshを入れてくれ、と言ってもなかなか難しかったわけです。ところが、クラウドというのは最初から標準技術をベースに考えられています。Googleのシュミットが「クラウド」と名付けたのは、ネット上のサーバーに、W3C標準に準拠したWebブラウザからHTTPなどの標準プロトコルでアクセスしてサービスを利用するという考え方でした。クラウド用のサーバーOSには当初からLinuxが多用されました。クラウドは、Windowsでなければならない、からWindowsでなくても良い、というパラダイムの転換でもあったわけです。何でも良いのであれば、コストのかからないLinuxを選ぶのはある意味当然でしょう。

これはハードウェアにもあてはまります。今はIAサーバー上でLinuxを動かすというのが一般的ですが、データセンター向けサーバーのCPUとして、省電力性に優れたARMの採用が進んでいます。どのみちLinuxを載せてOSSを使ってサービスを提供するのであれば、Intelである必要性は少ないわけです。ここでもハードウェアが抽象化されています。

他社プラットフォームとの共存へ

IntelとMicrosoftは、90年代以降プラットフォームを支配して莫大な利益を得ましたが、このような考え方は、古いビジネスモデルとなってしまったのでは無いでしょうか。もちろんプラットフォームを押さえられれば大きなメリットはありますが、これまでのように何が何でも、というほどのものではない、と考えることもできます。ナデラがCEOになってから、Microsoftの戦略は明らかに変わりました。クラウド中心になり、オープンソースを積極的に取り込み、自社の弱い部分は他社と提携し、自社の強みをさらに伸ばしていこうとしています。やってもやっても芽の出ない分野は諦め、うまく共存する方向を模索するというのもひとつの考え方です。

Microsoftは数年前から、Microsoft OfficeをiOSやAndroidに移植したり、Webブラウザで動作するようにしたりしています。プラットフォームを狙いながらも、自社アプリを着々と他社プラットフォームに対応させてきたのです。この先、プラットフォームに拘っても、抽象化され独自性を発揮しにくくなっている上にコストとリソースがかかるばかりだと考えれば、撤退は正しい判断かもしれません。しかもライバルは「タダで配ってる」わけですから。

抽象化されたプラットフォームの上に作る新たなプラットフォームレイヤー

自社アプリの他社プラットフォームへの移植の最新の動きとして、MicrosoftはEdgeをiOSとAndroidに対応させました。

iOSとAndroid向けのEdgeがお目見えした

記事中にあるように、「Continue on PC」に対応しており、スマホで閲覧していたページの続きをPCで読める、というものです。実はこれが、Microsoftが狙う新しいプラットフォームなのではないかと思います。これまではハードウェア+OSがプラットフォームでしたが、それが抽象化された後、その上にかぶせる新しいサービスレベルのレイヤーができてきたということでしょう。自社製品の間で一貫したエクスペリエンスを提供し、ファイルを共有したり認証基盤を提供したりすることで、自社環境に顧客を囲い込むのです。「サービスプラットフォーム」とでも呼べば良いでしょうか。(ググって見ると、この言葉はいろいろなところでいろいろな意味に使われていますね)

このレイヤーについては、GoogleもAppleも似たようなことを既に始めています。AmazonがAlexaで狙っているのも、このレイヤーと言えるかもしれません。この点についてはまた考えたいと思います。

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