次世代車載情報通信システムがスマートドライブによる無限の可能性を開発 未来の新テクノロジーに、ドライブ・イン!
こんな車の使い方を想像してみて下さい。
車を運転して出かけようとした時、自動車内のカメラが運転手と乗客の身長を判別し、座席を自動的に一番適切な姿勢に調整する。ナビゲーターとエンターテイメントシステムも同時にお好みの設定に切り替え、自動的かつ瞬時にスマートフォンとタブレットと連携し、音楽やTVプログラムのダウンロードを開始する。ポータブル機器のディスプレイにタッチすることなく、車の既存装備で携帯のメールを確認し、携帯のビデオや音楽を楽しむことができる。道路上で走行している間も、ナビゲーションシステムがリアルタイムの道路状況を伝え、ルートをガイドすることができる。車の状況を随時モニターすることにより、潜在的な安全問題を予防することができる。ガソリンや電池の残量が少ない時、近場のガソリンスタンドを検索できる。
次世代車載情報通信システム(In-Vehicle Infotainment system,IVIシステム)の発達により、このようなスマートドライブがもうすぐ実現できると期待されています。
IVIシステムは革新的な車載アプリケーションにより成立しています。輸送とは、単純な人や物の移動だけではなく、大量の情報が一緒について回り、我々の生活に次々と物に加えた情報がもたらされています。世界的な大手自動者メーカーもIVIシステムが今後の自動車産業発展の核心となることに加えて、IVIシステムこそが自社製品を他社との重要な差別化になることを理解しています。今までは車の中でラジオや音楽を聴いたりテレビを見たりすることが中心でした。今後は、自動車が搭載するIVIシステムによって、スマートフォンなどのモバイル機器と連携しコミュニケーションを取ることが一般的になっていくことでしょう。海外の調査会社であるJuniper Research(ジュニパーリサーチ)の報告によると、2016年には9000万台の自動車がインターネットの使用が可能となり、携帯のアプリケーションプログラムと併せて、全体的に自動車の付加価値が向上するだろうと予測しています。
表1:車載インフォテインメントシステムの歴史経緯
準備万端のIVIシステム、無限の商機を創出
IHS Automotive Researchは今年の3月に次のような研究報告をしています。IVIシステム登場初期、ユーザーはこのシステムに対して「あっても、なくてもいい」という考え方を示していました。しかし、徐々に自動車内にIVIシステムを搭載することを希望するようになり、2018年の時には世界中のIVI半導体売上高は85億USドルの規模に達することが予想されています。また、今後のIVIシステムの中で一番重要なマーケットとなる中国は2018年時点で、53億USドルのマーケット規模になると予測されており、これはグローバル市場の半分以上の営業収入を示すことになります。IHSが4月に発表した研究報告では、世界中の車載用の有線及び無線通信とインターネット接続技術関連の半導体の売上高は2011年の4.3億USドルから2018年時にはUS8.4億ドルまで増加することが予測されています。この他、IVIシステムの発展は、間接的に関連製品の発展を引き起こしています。例えば、2012年度に販売された自動車用ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display; HUD)を搭載しているのは2%のみでしたが、2020年には9%まで増加する見通しで、それは約900万台の自動車がHUDを搭載することを意味します。
また、IVIシステムの利益が増加した主な理由は、以下だと言われています。
1) 世界中においてIVIシステムを搭載している自動車販売数量が2018年には現在の2倍になると予測されている。これは、中国の小型商用車(Light Commercial Vehicle;LCV)のニーズが増加したのが大きな理由である。
2) IVIシステムの利益は1セットで平均200USドルを超える。
これからまだまだ発展するであろうこの市場で勝ち抜くには、機器ベンダーはこの技術の最新情報に着目する以外に、欠点がない製品を備えて競争相手に立ち向かわなければなりません。
自動車が単純に交通の機能を提供するだけでなく、IVIシステムが仲介者として各装置とリンクすることで、コミュニケーションを取る役目を果たします。ハードウェア、ソフトウェア関連の互換性及び操作性検証のニーズが徐々に増加し、重要になってくることでしょう。車載機器が上記のような性能を備えられるために、スマートフォン、アプリケーションプログラム、情報コンテンツ及びIVIシステム間の技術協定、インターネット接続機能は綿密に規定され、認証を確認しなければなりません。これより初めてスマートフォンによる自動車との有効的な連携が可能となります。
IVIシステム検証計画 インターネット接続機能を確保
IVIシステムの発展が進むにつれて、搭載される機能も複雑になりつつあります。基本的なナビゲーションシステム、オーディオストリーム、アプリケーションソフトウェア以外に、自動車は異なる協会が策定した技術を通じて、違うブランド、タイプの装置間の操作性及びアプリケーションの互換性がIVIシステムの全体パフォーマンスに影響を及ぼし、消費者の購買意向を左右することでしょう。
アリオンは試験専業会社として、IVIシステムがその他ブランドのソフトウェア、ハードウェアと一緒に操作できるかどうか、多数の関連試験検証ニーズの問い合せを受けています。以下では、異なるモバイル機器と車載用機器を接続する主要な技術規格を紹介いたします。車載用の規格製品の認証及び安全基準は一般の電子製品よりも遥かに厳しく、特に車載用の安全規格製品は物理的な機械試験を行い、安定性(圧力、温度、湿度など)を確保する必要があるため、車載器専用の環境試験も紹介します。
・ Wi-Fi Miracast™
Wi-Fi Alliance(WFA)はWi-Fi Display技術規格を基準としてWi-Fi Miracast™技術を開発し、Wi-Fi CERTIFIED Miracast™認証を発表しました。これはこの技術を支援する製品がWi-Fi CERTIFIED製品共通の利便性、互換性、操作性及び安全性を確保する為です。ユーザーはIVIシステムを利用して携帯に保存されているビデオや音楽を鑑賞することができ、リアルタイムにオーディオ製品コンテンツをリンクします。図1に表示されているように、この技術の製品はWi-Fiネットワークに接続しなくてもインターネットに接続することができます。すなわち、Wi-Fi CERTIFIED Miracast™認証の装置にはWi-Fiに直接接続する機能が搭載されてあり、既存のネットワークAPを使用する必要はありません。ユーザーは携帯のカメラで撮った写真、ビデオまたはインターネット上のオーディオ・ビデオストリームサービスを自動車のモニターで放映することができるようになります。
図1:Miracast™構成図
・ Bluetooth(ブルートゥース)
ABI Researchの統計によると、2017年時点では6000万台の自動車がBluetooth技術を搭載していると予測しています。これは2013年と比較すると47%の市場成長率となります。Bluetooth技術は最初ハンズフリーによる通信を目的として策定されました。現在では、世界中で幅広く応用されている短距離での無線伝送規格の一つです。Bluetooth技術を通じて、携帯電話のアドレス帳は自動車と同期します。ハンズフリーで電話を発信し、着信を受け、メールを受送信することができ、携帯電話のインターネット接続機能を利用して社内に搭載された大画面でウェブページを見たり、音楽を流したりすることもできます。しかし、競争が激しいスマートフォン市場においては、消費者のニーズに合わせて、大体半年から1年の短いスパンで新しい機種を発表します。携帯電話のOSは約3から6ヶ月の期間でソフトウェアが更新されます。ですが、IVIシステムは約2~3年間の開発時間が必要であり、市場のライフサイクルが10年にも達します。よって、業者がIVI製品を開発する時はハンズフリー装置と車載器間のBluetoothの互換性を確認する必要があり、特に今後の製品の互換性問題が発生し、ばく大な回収費用と顧客クレームが殺到しないよう、新旧バージョン間の互換性には特に注意が必要です。例えば、携帯電話と車載器の互換性では、三者間通話、音声コントロール、アドレス帳の読取り、通話記録からのリダイアルなど、これらの機能は装置間のBluetoothのバージョン、及びサポートするプロファイルの違いより、互換性の問題が発生し、消費者の不満につながります。
開発者がBluetooth技術搭載製品を開発する時、Bluetooth Qualification Conformance Testの認証を取得する以外に、異なる種類の製品間における互換性を確保する必要があります。具体的には、カメラ、ノートパソコン、スマートフォンなどの互換性を確認する検証が必要です。長年研究を重ねてきた経験と技術ノウハウをもとに、アリオンは定期的に最新の周辺機器と互換性検証環境を購入しており、専門的なBluetooth認証/品質検証サービスを提供し、製造業者へ特定環境においてもその他ブランドのソフトウェア、あるいはハードウェアと正常に使用できるかどうかの検証をサポートしておりBluetooth技術機能の性能を確保します。
・ MirrorLink™
IVIシステムの大きな発展により、コンシューマー向け電子機器の大手メーカー(Nokia、Samsung、LG)、大手自動車メーカー(Daimler、General Motors、Honda、Hyundai、Toyota、Volkswagen)及びシステムサプライヤー(Alpine、Panasonic)は共同で組織を設立しました。これが、Car Connectivity Consortium(CCC)です。MirrorLink™はCCCが発表した商標であり、車内で相互に情報を伝達するために開発された新しい技術規格です。CCC設立の目的は、各モバイル機器が統一した基準を通じて、互換性ある車内の通信環境を構築し、素早く便利にIVIシステムと相互接続して使用できるよう、ユーザーが簡単かつ直感的に車載機能を使用できるようになることです。
MirrorLink™の目的はユーザーが携帯電話のUSB、Wi-Fi、BluetoothあるいはUPnP、VNC(Virtual Network Computing)及びRTP(Real-time Transport Protocol)等の技術標準を通じて、IVIシステムと接続することで通信を行い、IVIシステムのインターネット接続機能を向上させます。現在、市場ではいくつかの自動車メーカーが自社開発のIVI技術を採用しています。例えば、BMWのConnectedDrive、FordのSYNC及びToyotaのEntuneなどがあります。将来は、ユーザーが車を運転中に、携帯端末のスクリーンを見なくても、車載スクリーンに映し出されるインターフェースやハンドル、ダッシュボード上などに搭載されたボタン、または音声によって携帯端末を操作することが可能となるでしょう。
MirrorLink™は、携帯端末メーカーとの自動車メーカー以外にも、携帯アプリ開発企業も積極的に参加しています。MirrorLink™では、走行安全と関係するアプリの規格を厳しくしており、二つの実装基準を設けています。一つ目がディスプレイの相互運用性です。これはアプリケーションの画像の大きさ、解像度、適用性が要求を満たしてなければならない基準です。二つ目はユーザーインターフェースの操作性です。これはスクリーン上のタッチや回転、切り替えボタンのインターフェース設計に関して協会が定めた基準であり、アプリケーションは、これらを満たしていなければなりません。
この他、アプリケーションが提供する情報も走行の安全性に影響してはならず、画面上に表示される文字のサイズに関しても、ユーザーが自動車走行時に判別できるサイズが定められています。また、アプリケーションはスライドメニューでの選択形式を禁止しており、使用上の危険性を回避します。これにより、関連企業はMirrorLink™専用のアプリを開発している時、直接モバイル端末に搭載されたコンテンツをそのまま移植できず、コンソーシアムの定める規定に準じて、IVIシステムの機能を加えなければなりません。このため、今後のMirrorLink™認証では、端末、サーバーなどの機器以外に、アプリケーションに対しても認証が必要になる予定です。
・ 車載機器向け環境試験
車載機器の規格製品検証は耐候性環境試験(Climatic Environment Test)、機械環境試験(Mechanical Environment Test)、化学環境試験(Chemical Environment Test)及び電気環境試験(Electronic Environment Test)などに分かれています。
1. 耐候性環境試験(Climatic Environment Test)
自動車用機器は一般の消費者向け電子機器より厳しい温度条件の中で動作、保存する必要があります。例えば、自動車はすさまじい砂漠の中や氷点下での環境で走行する可能性があるため、IVIシステムの設備は多様な温度試験を行います。この中から4つの事例を紹介します。(1)冷熱衝撃試験(サーマルショック試験):これは異なる温度に保った恒温槽間の移動を瞬時に行うことにより、-40°Cから90°C、そして90°Cから25°Cなど、急激な温度差に耐えられるかを確認する試験です。(2)熱傾斜試験:各メーカーの要求に基づいて、25°Cから-30°C、-30°Cから85°Cまでのヒートシール性を確認します。(3)温度サイクル試験:車が走行している間に発生する熱が、車の機能に影響をおよぼすことを確認する試験です。(4)高低差試験:自動車が異なる海抜で動作した場合の、温度と圧力のパフォーマンスを試験します。
2. 機械環境試験(Mechanical Environment Test)
道路には様々な危険性が常に潜んでおり、走行中には様々な振動や衝撃が発生します。このため、装置への耐衝撃性検証が必要となります。この試験では、車体が70Gから120Gなど、違う重力加速度衝撃に遭遇した場合の、車体の安全性を試験します。
3. 化学環境試験(Chemical Environment Test)
屋外に停めてある自動車は空気汚染に晒され、ガスと化合した酸により、間接的に車内の環境を侵食する可能性があります。腐蝕性試験を通じて、車体、保護機構及び接続配線に二酸化窒素(NO2)、塩素(CL2)及び二酸化硫黄(SO2)など異なる化学気体に数日間、継続して試験を行う必要があります。
4. 電気環境試験(Electronic Environment Test)
電圧降下試験は一定の定常負荷のもとで、試験対象の電圧の消耗状況を試験することができ、一般の電源、配線、圧接端子、接続器などの関連製品が実際の使用環境で各種電気性能故障が発生するかどうか試験することができます。また、IVIシステムはWi-Fi、Bluetooth及び携帯のインターネット接続機能を採用しているため、周波数が交互に干渉しないようにする必要があります。自動車の保護機構とこれらの高周波インターフェースが作用中にお互いのノイズが交互に干渉して性能のパフォーマンスに影響しないよう、電磁両立性試験により確認します。
図2:多様な技術プラットフォームを統合したIVIシステムは、性能を確保する為、クロスプラットフォームの検証が必要になります。
車載製品は、これらの技術は十分な認証試験を行う事に加えて、ユーザーが直接 「スマートカー」を体験し印象を得るユーザーインターフェースについても重要です。ユーザーユーザーエクスペリエンス設計(User Experience Design;UXD)及びクロスプラットフォームの検証の為にはより専門的な技術チームが必要であり、IVIシステムがその性能を持て余すことなくユーザーの期待通りに使えるかの価値評価がたいへん重要です。当社アリオンでは、この分野についても、選任チームを設けてお客様へのUXD評価サービスをご提供できます。
自動車メーカーが公開しているアプリケーションプログラムは、音楽放送、生活情報、メールやSNSなどのコンテンツ・インテグレーションの三種類のサービスに分かれています。ですが、市場が成熟するにつれて、更に多くの消費者の注目を集めることとなるでしょう。その時には自動車業者がシステムの設計基準を開放し、協力体制も更にオープンになると思われます。また、コンテンツサービス企業が車載機器市場に進出するハードルは低くなり、今まで以上に多数の自動車メーカーと開発者がマーケットに参入し、Win-Win の局面になると考えられています。自動車メーカーの要求及び製品の特色に基づき、最も適切な試験計画を設計し、全てのソリューションを統合することより、IVIシステムの詳細、その関連技術標準、潜在的なリスク評価及び問題発生原因を特定することができます。IVIシステムが発展できるよう、アリオンが設計した試験ソリューションがベストチョイスとなることでしょう。
ロゴ認証や検証に関する最新情報につきましては、下記のウェブサイトでも公開しております。
http://www.technical-direct.com/jp/