CES2014レポート1：ポスト・スマートフォンの時代　ウェアラブルデバイス

　米ラスベガスで開催された「2014 International CES」(CES2014)を振り返ると、ウェアラブルテクノロジー(Wearable Technology)デバイスは明らかに今年の展示物の中でも大きな注目を受けた製品でした。各メーカーはスマートブレスレット、スマートウォッチ、スマートグラスといったウェアラブルデバイスのプロモーション活動に力を入れていました。機能面において、ウェアラブル技術はこれまでのスマートフォンやテレビのように、ソフトウェアやハードウェアの技術革新を強調するのではなく、人々の生活と深く関わる中で利用される様々な技術をアピールしています。例えば、医療分野とフィットネス分野で新しい需要を喚起することなどが挙げられます。2013年から発展を開始したウェアラブル技術は、興味深いことに僅か1年の間に展示会の主役になりました。 　IMS Researchの調査結果では、2011年時点で20億米ドルだったウェアラブルデバイス市場における世界の売上高は、2016年には60億米ドルに達するものと予測されています。出荷台数に関しても、2011年には1400万台程度だった台数が、2016年には1億7100万台にまで増加することが予測されており、今後の大きな市場の発展が見込まれています。

　ウェアラブル技術の技術展開を全体的に見てみると、無線データ転送技術に関わるBluetoothと、生体反応の精密な感知技術に集中していることが分かります。ウェアラブルデバイスはユーザーの生体反応（脈拍数、心拍数、体温、血圧など）を収集、記録、管理することができ、これらのデータを携帯やクラウドシステムに伝送することが可能です。ここで中心的な役回りを果たすのがBluetooth技術、特にBluetooth 4.0 LE, BLEです。長時間低電力で継続的な生体反応記録を可能とするLow Energy技術は、ウェアラブル技術を更に優れた技術としています。アリオンが提供するBluetooth ロゴ認証サービスは、こうした機能の正しい動作をサポートしています。Bluetooth SIGに認められたBQTF(Bluetooth Qualification Test Facility)としてロゴ認証試験を提供する他、デバイス間の互換性や通信品質、デバッグサポートなど、関連した品質検証を包括してご提供します。 　スマートフォン市場が一定の成熟度まで発展した昨今において、これらの技術の応用を用いたウェアラブルデバイスはコストを掛けることなく開発可能です。昨今のウェアラブルデバイスに求められるのは、身体運動との連携に関わるニーズを満たしたものであり、CES2014で分かったのは、こうしたウェアラブルデバイスへの関心はますます上昇していることです。これはSony、LGといった家電メーカーの他、Nike、Adidasのといった著名なスポーツブランドも相次いで特色あるウェアラブルデバイスを発表したことから明らかです。

Sony Smart Band

　Sony Mobileが発表したウェアラブルデバイス、Smart Bandは樹脂素材で作られており、Bluetooth技術搭載によりスマートフォン、タブレットPCのアプリケーションとさらなるマッチングが可能となります。生体センサーの搭載により、心拍計、万歩計といったフィットネス記録のツールとして使用することが可能です。ブレスレット内に内蔵の取り外し可能な感知器が搭載されているため、ユーザーがポケットやバッグの中に入れた状態でも感知器が継続的に情報を記録できます。Smart Bandはディスプレイ非搭載の機器であるため、スマートフォンとの連携が極めて重要です。メールを着信した際など、通知のリマインドや、スマートフォンで聴いている音楽をコントロールすることができるため、スマートフォンの機能を補助するデバイスのような役割を果たします。

LG Lifeband Touch

　LGが発表したLifeband Touchも同じくBluetooth技術でスマートフォンとリンクするように作られています。タッチ型OLEDスクリーンを用いて、ユーザーは消費カロリー、心拍数、運動記録を確認することができます。こちらもSonyのSmart Bandと同じように、Lifeband Touchも通知受信機能および音楽再生コントロール機能を持っています。Lifeband Touchが特徴的なのは、専用の心拍数計測イヤホン”Heart Rate Earphone”が使用できる点にあります。PerformTek社の感知技術を使用しており、耳の内部から正確な生体反応データ(心拍数、血流量、最大酸素摂取量など)をモニタすることで、更に詳細なデータを収集することができます。

Nike+ FuelBand SE

　各ITメーカーは、現代人が健康と運動管理の効率化を追求しているニーズに注目して、リアルタイムでフィットネス状況を記録することができるウェアラブルデバイスを開発しました。世界的に著名なスポーツブランドであるNikeとAdidasも自社開発したウェアラブルデバイスを発表しています。製品の機能はフィットネス状況のモニタリングと位置づけられており、科学的な訓練方法を通してユーザーは自分の条件にあった運動速度、訓練方法、トレーニングプランなどを計画ことができます。ここで注目すべき点は、スポーツブランドのアパレル分野にも感知・検知デバイスが内蔵されるようになり、これらの技術の応用によってスマートテキスタイル(Smart Textiles)へと進化しつつあることです。精密な生体反応データが手首に装着したデバイスに転送され、ユーザーは更に詳細な運動状況と身体状況をリアルタイムに把握することができるようになることでしょう。

　ウェアラブルデバイスの市場規模が拡大する中で、アリオンは2013年末から市場で販売されているスマートウォッチに対する評価を行いました（詳細は『新ガジェット、スマートウォッチの時代到来へ』を参照）。ウェアラブル技術の応用範囲が幅広くなったことにより、もっと積極的な品質検証の実施が求められています。当社としては、互換性検証、ロゴ認証など包括的な品質検証の実施によって、これまで以上に強固なハードウェアとソフトウェアの技術連携をサポートしていきたいと考えています。