Wi-Fi Alliance®が提供する新しい技術:簡単かつ安全なデバイス間直接接続Wi-Fi CERTIFIED™ TDLS
Wi-Fi Alliance®は2012年8月にWi-Fi CERTIFIED™ TDLS認証プログラムを開始しました。TDLS (Tunneled Direct Link Setup)は、Wi-Fiをサポートする2台のデバイスが従来のWi-Fiネットワークに接続することにより、デバイス同士の直接接続を可能にする新しい通信規格です。複雑なセッティングやアクセスポイントを介したデータ伝送が不要で、2台のデバイスが自動的かつ安全に直接接続されるピアツーピア接続を構築します。これは、将来的にWi-Fi CERTIFIED™ TDLSの技術によって、スマートフォンやタブレット、テレビ、カメラ、プロジェクターなどの家電製品が相互に接続し、迅速かつ容易にコンテンツの伝送やアプリケーションの共有が可能となることを意味します。一般的に、Wi-Fi CERTIFIED™ TDLSはWi-Fi対応デバイスの接続能力を向上させ、負担の大きいコンテンツによるアクセスポイントの遅延や通信障害を減少させるでしょう。Wi-Fi CERTIFIED™ TDLSは、アクセスポイントをアップグレードしなくても、ユーザーにとってより簡単に、そしてWi-Fi対応アプリケーションや全帯域のより効率的な利用を可能にします。
Wi-Fi Alliance®によると、Wi-Fi CERTIFIED™ TDLSはIEEE802.11zの改訂仕様に基づいており、WPA2™ のセキュリティを用いて認証されます。家庭または企業の環境下において、Wi-Fi
CERTIFIED™ TDLSの技術は、音楽や動画のストリーミング、データ伝送、データのバックアップなど、ネットワーク内において異なるデバイス間の接続効率を高めることができます。この技術規格は、ユーザーとネットワーク対応アプリケーションにおいて、Wi-Fiによる新しい利点をもたらすでしょう。
1. 更なる効率化のためのデータ伝送の最適化:Wi-Fi CERTIFIED™ TDLS認証デバイスは802.11nをサポート可能なため、自動的に他のデバイスに接続でき、互いの信号強度を測定してデバイスがサポートする最速の技術規格を適用し、そのデバイスにとって最良の接続方法(802.11n)を選択します。つまり、例えばネットワークのアクセスポイントがWi-Fiネットワークの低い帯域幅(例:802.11g)のみサポートしている場合でも、それら2つのデバイスは相互に直接Wi-Fiのネットワークである802.11nを介して接続され、データ送信が可能となります。
2. 高いセキュリティ保護:そのネットワークに接続されているアクセスポイントが高いセキュリティレベルに至っていなくても、Wi-Fi CERTIFIED™ TDLS認証デバイス同士が接続する際は、最もセキュリティレベルが高いWPA2™により安全なデータ伝送が可能となります。
3. Wi-Fi CERTIFIED Direct™ネットワーク内でも操作可能なWi-Fi CERTIFIED™ TDLS:Wi-Fi CERTIFIED Direct™のネットワークは、ある一つのデバイスが“グループオーナー”として機能し、従来のアクセスポイントを必要としません。各グループメンバーはWi-Fi CERTIFIED Direct™ネットワーク内でデータ伝送を行うためにグループオーナーと接続します。一方、Wi-Fi CERTIFIED™ TDLSは、Wi-Fiのネットワークにて、グループメンバーである2つのデバイス同士の直接接続が可能です。これら2つの技術規格は、互いに補完する規格であると言えるでしょう。デバイスがこれら2つの技術規格によって認証済みの場合、異なるWi-Fiネットワーク環境下において、最も効率的な接続方法が使用可能となります。
4. 作業効率の向上:Wi-Fi CERTIFIED™ TDLSは、アクセスポイントのデータトラフィックのフローから生じる待ち時間を回避し、Wi-Fiネットワークを通じて操作されるあらゆるアプリケーションを最適化するでしょう。 従来のWi-Fi通信はネットワークのアクセスポイントに頼っていると言えます。つまり、2台のデバイス間でデータファイルを伝送する際、2つのデータパケットを必要とします。しかし、2台のデバイスが許可された通信範囲内にある場合、Wi-Fi CERTIFIED™ TDLSはネットワークのアクセスポイントをスキップしてもう一方のデバイスへの直接接続が可能なため、パケット数を半減させてネットワークの伝送効率を高めることが可能となります。
5. ユーザビリティ:Wi-Fi CERTIFIED™ TDLSは、マニュアル設定が不要で、自動的にリンクを確立します。
6. 省電力機構:電源供給デバイスがWi-Fi CERTIFIED™ TDLSのリンクに接続されている場合、先進的な機構により電力の節約を可能にします。
以上の内容によりWi-Fi CERTIFIED™ TDLSの利点を理解すると、上記イラストの意味を理解できるでしょう。つまり、ワイヤレスアクセスポイントが802.11gなどの遅い速度でWPAの低いセキュリティレベルのみをサポートしている使用環境下であっても、テレビやスマートフォン(802.11nおよびWPA2™対応)が共にWi-Fi CERTIFIED™ TDLS認証を取得していれば、アクセスポイントを意識することなく、直接802.11nの通信速度と高いセキュリティレベルを持つWPA2™を備えたTDLS接続が可能となります。
Wi-Fi CERTIFIED™ TDLS認証プログラムは、Wi-Fi™技術においてまさに飛躍的な進歩です。この認証はオプションのプログラムであるにもかかわらず、ユーザーがマルチメディアファイルをストリーミングする際、複雑なユーザーセッティングが不要でデバイス同士が素早くネゴシエーションを行い、自動的にTDLSリンクを確立してデータ通信をより効率化させ、Wi-Fi™技術の全体的な効率性を最適化する便利な技術です。アリオンはWi-Fi CERTIFIED™ TDLS認証プログラムを実施している認証試験ラボです。規格認証試験やデバイスの相互接続互換性、デバッグのサポート、技術コンサルティングを含む様々な第三者検証サービスを提供しております。詳細または本プログラムについてのお問い合わせは、service@allion.co.jpまでご連絡ください。