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ますます複雑化する開発製品の品質検証。エンジニアの皆さんに向けてAllion Labs, Inc.(アリオン)の島田が品質検証よもやま話をお届けします!

連続インク供給システム, その真実に迫る

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  以前の記事では国内の純正インクと互換インクの比較について述べた。今回は、日本列島から出て、中国市場で実際に販売されている連続インク供給システムに対して、純正インクカートリッジとの印刷品質比較試験を簡単に紹介したい。

  中国市場において、外部タンクからインクを自動的にインクカートリッジ内に供給する製品が販売されている。この製品を使用すれば、外部タンクにインクを補充し続けるだけで、インクカートリッジを交換することなく連続使用することができ、インクカートリッジを購入するよりコストパフォーマンスに優れているという。日本でも連続インク供給システムが存在しているが、前述したように今回のインクの話は日本列島以外のものを紹介したい。ちなみに、連続インク供給システムはCISSという略で書かれることもある。英語でContinuous Ink Supply Systemという。

  そこで、中国市場で実際に販売されている連続インク供給システムを3ブランド(一応、怒られないようにここではメーカーA、メーカーB、メーカーCとする)と、国内純正インクカートリッジ1ブランドを使用して、写真画像と文書の印刷を繰り返し行う印刷品質比較試験を実施し、連続インク供給システムを使用した印刷物が、純正インクカートリッジを使用した印刷物と同等の信頼性を確保しているかどうか確認を行った。

いろいろな面で比較を行ったが、コンシューマに一番わかりやすい画像の結果のみを紹介する。

長期連続使用を想定した場合、初期印刷時と比較して色味が変化する可能性がある。

長期連続印刷を行った場合、異常がないかを確認するために、各ブランドのインクを使って、連続で1000枚の印刷を行った。

メーカーA、メーカーB、メーカーCの連続インク供給システムを使用して、初期印刷時の印刷物と1000枚印刷後の印刷物を目視にて比較したところ、1000枚印刷後の印刷物に色味の変化が発生していることが確認できた。この色味の変化の度合いは、各者で違うものの、色味の変化は目視ではっきりと確認できる。純正インクを使用して印刷した場合、1000枚印刷後も色味の変化は見られなかった。

下記の画像をご確認ください。

A_5   

B

また、連続印刷を行っている途中、インクカートリッジ内へインクが充填されているにも関わらず、連続インク供給システムから突然MagentaインクやCyanインクが吐出されなくなる現象が発生した。この問題が発生した場合、プリンタヘッドに取り付けられているインクカートリッジ部を取り外し、水頭差を利用して外部タンク側からインクカートリッジ側にインクを移動させてから1日以上放置しないと回復することが出来なかった。この問題は、メーカーAとメーカーCで発生し、純正インクカートリッジとメーカーBではこの問題は発生しなかった。下記の画像をご確認ください。

 

C

確かに、連続インク供給システムは大量印刷のヘビーユーザーにはよく進められている。ただし、ブランドによって、今回紹介したケースのように、初期印刷の画像と何枚目の画像に明らかに品質が落ちたりすることもありえる。今回は中国の連続インク供給システムで確認したが、他の国や日本の場合はどうなるか、みてみたい。

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