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iPhoneとAndroidは比較できるのだろうか?

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今年特に、雑誌およびウェブの記事の多くを見ると、ヒット商品を連発してIT業界のトップ企業となったアップルとグーグルのAndroid(アンドロイド)を比較している。Androidの登場で「アップル支配が閉幕する」ではないかとみている方が多いようだ。

過去 マイクロソフトが、PC市場で圧倒的な強さを見せていた時のように、多くの記事はマイクロソフトのライバル探し(アップル、グーグル等)に走ったと同じく、アップルがマイクロソフトを抜いて、世界一のIT企業の座を奪った突端、アップルのライバル探しおよび弱点等の記事が増えてきた。

その中でスマートフォンシェアを独走しているiPhoneに対し、AndroidiPhone,アップルとグーグルを比較したがる記事が多くなってきた。しかし、それは、私には無理なネタ作りにもみえる。そもそもiPhoneiPadは完全製品(ハードとソフト)で、Androidはソフトウエアなのだから。

iPhoneAndroidを比べることは、Androidとパナソニックやシャープ製の携帯端末を比較する、と同じではないだろうか?アップルはパナソニック等と同じように携帯端末メーカーですが、iPhoneという携帯電話を開発すると同時に、iTunes(アイチューンズ)という世界も提供した。その世界を作ることによって、他の自社製品(iPod)とのうまい連携で、累計で7000万台以上のiPhone機種を販売できた。

Android端末がiPhoneを逆転することがアップル支配の終わりのように説明されているが、多くの携帯電話メーカーがAndroidを採用すれば、iPhoneを生産しているのは1社だけなので、無論Android端末の方が多くなる。市場統計を冷静にみれば、スマートフォンのOSにおいて、日本で一番シェアが大きなのはiPhoneに搭載されているiOSではなく、マイクロソフトのWindows Mobileが依然一番大きなシェアを持っている(2010年時点)。 しかし世間では、Windows MobileAndroidを比較しても、面白いネタではないので、iPhoneAndroidという比較となっている。この比較に反論が無い所をみると、それに対し、大多数は違和感がないにも思える。
  アップルは外部にiOSを提供していないので、多くのメーカーがAndroidを使えば、Android対応端末が世の中に溢れる。Android機器の普及により、一番打撃を受けるのはアップルよりもマイクロソフトのWindows Mobileではないだろうか?無償で提供されるAndroidと違って、Windows Mobileを利用するのに機器メーカーはライセンス等を支払う必要がある。Androidを利用する機器が増えれば、その分だけWindows Mobileのシェアが減ることとなる。iOSiPhoneだけのOSであるため、他のメーカーがWindows MobileからAndroidへの移行は、アップルにとって直ぐに影響を受けるとは思えない。

Androidは無料ソフトとは言え、Androidを利用する携帯端末メーカーはグーグルに大きく依存する。グーグルの都合でAndroid提供中止又は有料に転換等が起これば、機器メーカーにとってAndroid採用はリスクを伴うものだ。iPhoneは、すべてアップルが開発した製品であるため、ハードとソフトの互換性がスムーズで、配信されるアプリケーション等、すべてが1社によって徹底して管理されている。GoogleAndroid向けアプリケーション等の審査がアップル程厳しくないため、今後Android機器同士や対応アプリケーションの互換性問題はありえる。

Androidの無償提供は間違いなく、イノベーションの活発化を生むだろう。また、メーカーにとっても、アプリケーション開発者にとっても、多くのビジネスチャンスも出てくる。今後出てくるAndroid対応端末は大きな楽しみになるはずだ。ただし、電話機であるiPhoneとソフトであるAndroidの比較は、市場での本当の変化からそれるように、私には見える。

O.J.D

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