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ますます複雑化する開発製品の品質検証。エンジニアの皆さんに向けてAllion Labs, Inc.(アリオン)の島田が品質検証よもやま話をお届けします!

SD Cardには認証試験は必要無いのか?

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SD Cardをご存知でしょうか? SD Cardは、Panasonic, 東芝, SanDiskの3社が開発したメモリカードで、2010年現在 市場で最も普及したメモリカードです。

デジタルカメラや携帯電話、PCやモバイル機器、家電など、さまざまな分野で使用されています。

 このように、広く普及した一方で、意外かもしれませんが、SDカードではロゴ使用の為の認証試験が存在しません。 ライセンスを受けた会社は、自己責任でVerification Testを行い、SD Cardに関連した様々な仕様書に適合していることに自信があればロゴをつけて出荷することが出来ます。 但し、一般的な第三者ロゴ試験(USBHDMIなど)のように、同じ水準の試験が行われるのではなく試験のレベルは会社ごとに随分と異なっています。

 それでは、市場ではあまり問題がないのでしょうか? 当社が市場にある製品を調査した所、90%以上のホストやカードでは基本機能での問題はありませんでした。 但し、SDカードに関連した仕様に対して厳密な確認をした所、30%以上のホストやカードに問題御があることが見つかりました。 具体的には、カードでは 外形寸法や反りなど、ホストでは電源供給能力や信号品質などです。これらの問題は、実際にはユーザには見えにくいものなので、なかなか認識はされません。メモリカードでは、ホストとの組み合わせで問題が発生しますので、カードの外形が仕様通りでなくてもホストコネクタに余裕があればスムーズに抜き挿しが出来ますし、ホストの電源供給能力が足りなくても 殆どのカードは最大電流を必要としませんし、信号波形が多少 不適切でも設計余裕のなかで正常に動作することが出来ます。ですから、従来は仕様にあっていない製品があっても、市場で問題はあまり目立ちませんでした。

 

SDカードでは2010年に、高速動作、大容量に対応したSDXC,SDHCの仕様:Ver.3.0を発表しました。 この仕様では、第一次世代のUHS-Iで104MB/Sを実現、容量は2T(テラ)Byteまで拡張され、EX-FATファイルシステムが採用されました。
従来の仕様では、カード側の設計に余裕があったので電気信号の問題は表面化しませんでしたが、高速の動作では信号品質が問題となり、カードに対して従来以上の電流供給能力が求められます。このような高速、大容量のシステムになってきた場合には、SDAが定めた仕様書やTest Specに基づいた様々な試験を効率的に行うことが必要になります。

従来のような仕様にあっていないカードやシステムでは、様々な動作上の問題発生が危惧されます。この為、SDAでは、Ver.3.0及び従来のVer.2.0に対してTest Specificationと、様々なテストツールを用意して、実施すべき試験項目を明確にして、これに沿った試験を強く求めることになりました。市場での問題が発見された場合には、関連するカードやホストは、SDAに対してVerification Reportを提出し、自社製品が仕様に適合していることを明示する義務があります。

当社 アリオンでは、SDAでの試験仕様の策定、テストツールの評価に参加し、適切なVerification Testを提供可能です。当社での試験は、SDAが定めるTest Specification及び、Test Toolを用いたもので、SDAが求めるVerification Reportに沿った内容になっています。簡単な互換性評価に比べて、非常に内容が濃く、不具合が起きた場合にも原因の切り分けや対策にも役に立つと思います。SD Card及びそれに対応したホストシステムを開発される会社には、ぜひお勧めしたい試験です。

記者:五反田猫

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