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【42社】留学が就活で有利になる時代がやってくる、と予想してみる

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 外国人の採用強化を打ち出す企業が大手を中心に増えているようですね。外国企業との競争を勝ち抜くためには、社員の国際化が急務だとか。言われなくても、意図は理解できますよ、十分に。当たり前の話です。
 
 ただ、ちょっと違和感を覚えないでもない。企業が国際競争に備えようとしているのは、特に最近始まった話ではないですよね。なのに、なぜ今頃になって、急にそんなことを言い始めたのか。なぜ今になって外国人採用の強化とか、社内公用語の英語化に走り出したのか。いろんな背景が想像できるわけですが、その話はまた別の機会にするとして。

 この流れを踏まえると、外国人を外国に出向いて採用するだけじゃなくて、日本にいる留学生を採用する企業が増えるだろうというのは、誰でも容易に想像できると思います。日本に対する理解もあり、日本語も使えるとなると、企業の中で馴染むスピードも早く、企業にとってはうってつけの人材になるはずだからです。

就職氷河期どこ吹く風 留学生の採用売り手市場

 日本の企業に就職を希望する留学生を対象にした「外国人留学生のためのジョブ・フェア」が12日、仙台市青葉区の仙台国際センターで開かれる。国内の大学生は史上最悪の「就職氷河期」といわれる一方で、海外での事業拡大に備えた留学生の採用熱は高く、「売り手市場」の傾向が強まっている…(中略)…円高を背景に海外展開を図る愛知県の自動車部品メーカーは2年連続で参加。「現地法人で活躍できる人材が枯渇している。現地採用は教育が難しく、日本の文化に理解ある留学生への期待は大きい」と説明する…(後略)…
 
河北新報社KOLnet 2011年02月11日付けより一部引用

 やはり予想通りのことが起こっているようですね。上記記事によると、一大学が主催したこのフェアに、ホンダ、パナソニックなど新興国で売り上げ増を図る大手企業を含む【42社】が顔をそろえたといいます。
 
 随分古い話で、今から20年も前のことになってしまうのですが、当時リクルートが、日本に留学している留学生を対象にした、その名も「留学生のための就職情報」という採用情報誌を発行していたことがあります(すみません、誌名は少し間違っている可能性あります)。国際化を進めている企業がこぞって求人広告を掲載しただろう…と思うかもしれませんが、それがまったくハズレ。一部の大手企業が利用した程度で、残念ながら数年で発刊停止になった記憶があります。当時の留学生からすると、今の日本企業の状況は、なぜ???と映っているのではないでしょうか。
 
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 ここから先はまったくの個人的な予想です。
 
 最近の若者は、海外に出たがらない、海外赴任はもちろん、海外出張すら敬遠するという話をよく耳にします。学生も、一部を除いて海外志向が弱く、留学したがらないと言われています。就活が長期化していることも、留学を敬遠させている理由のひとつだと言われてもいます。しかしこれからは、状況が異なってくるのではないでしょうか。つまり、留学していたことが、就活においてかなり武器になるのではないかと。
 
 短期の語学留学くらいではダメかもしれませんが、半年、1年といったある程度のロングな、しかも語学留学ではなく、何らかの専門知識をみにつけてくる留学。社内で英語を公用語にしている企業も出てきている昨今。これだけ「国際人」を採用しようとする企業が増えている中で、留学を通じて、語学力はもちろん、リアルな国際感覚を身につけることは、就活競争において、かなり大きなアドバンテージになると思うのです。
 
 さらに、それが広まって、留学制度が整った学部学科や大学の人気が、受験生の間で高くなる。大学も募集に有利とばかり、留学制度の拡充に力を注ぐ。近い将来、そんな流れを想像しているのですが、いかがでしょうか。

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