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【55万9000人】 新入社員にとって、バブル期は楽で、今は苦なのか

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 4月3日の金曜日、在籍する中部大学で入学式が開かれました。不思議なもので、新入生というのは一見して新入生と判ります。着慣れないスーツ、どことなく挙動不審な振る舞い、紅潮した顔つき…毎年の光景ではありますが、迎える側の私たちにとっても、緊張感が溢れます。

 その2日前の4月1日、多くの企業が一斉に入社式を開いています。日経新聞によれば、今春の新入社員数は【55万9000人】(大卒・高卒計)で前年に比べ約7%減。トップの訓辞に耳を傾けてみると、危機感の共有と奮起を求めるものが多かったようですね。

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■パナソニック・大坪文雄社長
「現在の難局は新たな発展を遂げるチャンス。次の成長に向け積極的な挑戦を始めている。今日から同じ思いで加わってほしい」

■トヨタ自動車・渡辺捷昭社長
「トヨタの将来に不安をつのらせている人もいるかもしれない。この機会を次の時代への転換点とし、自らの未来を切り開く認識と気概を持ってほしい」

■ローソン・新浪剛史社長
「時代の変化に合った新しいビジネスモデルが必要だ。皆さんはコンビニが大きく変化し、新しいチャレンジができる大変いいタイミングで入社した」

■ソニー・ハワード・ストリンガー会長兼社長
「強固で身軽な体質に変革しなければ」

■日本興亜損害保険・兵頭誠社長
「皆さんの活躍の場が広がり、これまで以上に成長の機会を得ることができる」

 予想通り、昨今の難局を乗り切るための覚悟と心構えを示すものが並んでいます。言葉の使い方は様々ですが、危機を乗り切るためには「挑戦」「変革」が大事だと訴えていますね。

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 では、バブル期はどうだったんでしょうか。ちょっと気になって調べてみました。下記はいずれもバブル絶頂期の1989年春の入社式訓示からピックアップしたものです。

■任天堂・山内溥社長
「長期にわたる粘り強い努力と激動する情勢に即応できる柔軟な体質が必要だ。日々の生活を通して、絶えざる厳しい自己反省を重ね、期待にこたえられる人間に育ってくれるよう切望している」

■三井物産・江尻宏一郎社長
「常に変化に挑戦するスピリットをもって事にあたれば、前途は明るい」

■日本アイ・ビー・エム・椎名武雄社長
「理念を不動のものとすることで、それ以外のすべてに変化を求め、実践することが可能になる。変化の担い手は諸君のはつらつとした若さとセンスとエネルギーだ。二十年後、三十年後にも「コンピューターのIBM」であり続ける必要はない」

■ソニー・盛田昭夫会長
「あなた方の人生が悔いのない幸せなものであるかどうかは、あなた方の努力と責任にかかっている。学校とちがい、会社は毎日が試験である。基本的なルールを身につけた上で、創造的な仕事をしてほしい」

■トヨタ自動車・豊田章一郎社長
「自動車産業は大きな可能性を秘めた前途有望な産業。トヨタの未来のためには情勢の変化に対応して私どもも自らを変革させていかなければなりません」

 経営環境は今と正反対かもしれませんが、よく見れば、「変化」「変革」「挑戦」といった言葉が使われています。

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 結局、情勢がどうであれ、新しい戦力に期待する所は普遍であるということになるのでしょうか。厳しい環境下なら、その逆境を跳ね返すチャレンジャーであってほしい。また順風下なら、その勢いに乗ってさらなる成長を遂げるべく、新しい分野に挑戦してほしい。トップの思いはいつの時代も同じなのかもしれませんね。。。

  ※トップのメッセージは下記より一部引用
   日経新聞 NIKKEI NET 4月1日付け記事
   時事通信 jijicom 4月1日付け記事
   読売新聞 YOMIURI ONLINE 4月2日付け記事
   日経産業新聞 1989年4月4日付け朝刊より

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