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【134.9%】 勢い戻るデジタル家電、不況脱出のサインとなるか

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 これは本格回復の兆しなのか、一時的な上昇なのか。昨年末から落ち込み曲線を描いていたデジタル家電品の販売に、明るさが見えています。

 ちょうど1ヶ月前に、自分のエントリー<好調デジタル家電業界を覆う、サンドイッチ価格構造>で、これまで景気の牽引役としてふんばってきたデジタル家電品の販売が大ピンチに陥っている状況をリポートしました。それが一転、いずれも上昇軌道に戻ってきています。

 市場調査会社のBCNがまとめたデジタル家電の販売動向によると、主要なデジタル家電品である「薄型テレビ」「映像レコーダー」「パソコン」の販売台数が、2009年2月・3月連続で、昨年同月比100%を超えてきています。中でも大型液晶テレビを中心とする薄型テレビはV字回復を見せており、2009年2月度は131.3%、3月度は【134.9%】を記録しました。昨年末から年始にかけての販売台数激減が追い風となり、店頭価格が大幅に低下したことが大きな要因だと思われます。

 また映像レコーダーは、2008年12月より回復基調に入っており、販売台数が2月度で128.0%、3月度で129.6%となっています。ブルーレイ対応レコーダーの販売台数は横ばいからやや増加程度にとどまっていますが、薄型テレビとのセット購入が販売増につながったとBCNでは見ています。

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 ただ、手放しで喜べる状況とは言い切れないようです。販売台数レベルでは増加しても、販売単価は大きく下がっており、特に薄型テレビの平均単価は9万8000円(3月)と、前年同月の11万2900円を大幅に下回っています(日経トレンディネット、4月9日付け記事より引用)。過去3年間では、30型台の下落幅が最も大きく、ほぼ半額の10万2400円に値下がりしている(同)とのこと。

 またパソコンも、ミニノートの販売好調の反面、平均販売単価は大きく下落していますから、販売額ベースでは昨年同月比でマイナスとなっています(下図はBCNより引用)。
 

Pc  

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 数日前、政府は追加の景気刺激策として、省エネ家電品の購入に5%を補助することを発表。これにより家電量販店の株価が軒並み20%前後も上昇を見せるなど、期待が先行しています。これはグッドニュースだと思い、よく知る某家電店の店長に話を聞いてみました。

 私の予想に反して、店長は至って冷静でした。「逆に買い控えも予想されるから、現場では期待半分、不安半分ってとこでしょうかね」という本音をポロリ。「省エネを売りにした家電品は、省エネ機能がないものに比べて価格が高い。最近は高いものが売れないから、そう簡単にはいかないですよ。いずれにせよ、体力消耗戦となっていることに変わりはないかなぁ。でもちょっとずつ、明るいニュースも増えてきてるから、トンネル脱出は遠くないと思う」と話してくれました。

 定額減税も支給が開始され、少しずつですが、フォローウインドも吹いてきているようにも感じます。4月に入り、急激に気温も上がってポカポカ陽気の日が続いています。新入社員や新入学生も溢れ、何となく明るい空気が漂っているような気がするのは私だけでしょうか。この空気、悪くないと思うんですよね。。。

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