【50万部】 武田邦彦教授の講演会で、環境問題の真実を考えてみた
武田邦彦教授といえば、『環境問題はなぜウソがまかりとおるのか』『偽善エコロジー』などのベストセラーをたて続けに出版し、今やテレビでもお馴染みの論客。特に『…なぜウソが…』は、シリーズ三部まで出され、すでに発行部数は【50万部】を突破という大ヒットとなっているようですね。この武田教授、実は中部大学総合工学研究所の教員なのです。じゃあ一肌脱いでくださいよ~ってことで、環境問題をテーマとした講演会を企画して、お話いただくことにしました(ちゃんと真面目に考えたんですよ)。
講演会は武田教授を含めて全7回のシリーズ構成とし、公開講座として一般の参加を募集しています。タイトルは、名付けて『今、あらためて考えるべき、環境問題の真実』。すみません、ちょっと大げさなタイトルで。
何でもかんでも、とは言いませんが、経済活動はもちろん、市民生活の中でも“エコ”が叫ばれる昨今。武田教授は、世の中で“エコ”だとされていることが、本当にエコなのかと警鐘を鳴らして注目を集めています。自動車にリサイクル料が課せられ、スーパーではレジ袋が有料化。これまで企業努力で吸収されてきた環境対策費用も限界だ、ということでしょう。確かに日本人には“水と空気はタダ”といった感覚がありましたが、これからはそうもいかない。でも、厳しい言い方をすれば、“エコ”という免罪符を出せば有料化が通る、という印象もないではありません。
環境を大切にする、という人類共通の命題に対して、誰も異論はないと思います。ただ、CO2を削減することが、石油消費を抑えることが、すべてに優先されるべきなのか。環境を大切にするためには、何が本当に必要なことなのか。企業は何をすべきで、生活者は何をしなければならないのか。これは古くて新しい問題だと思うわけです。
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武田教授の主張は、ひとことで言えば、「ものごとを一面的に見てはいけない」ということだと思います。たとえば、「ペットボトルは、ちゃんとリサイクルしよう」という主張に対して、「回収されたペットボトルの6%しかリサイクルされてないという現実を知ってますか? ペットボトル1本をリサイクルするのに、ペットボトル1本を生産するのと同じくらいの石油が使われるということを知っています?」ということです。ものごとを単純化することは、分かり易いという側面の一方で、他の側面を切り捨てることを意味します。大事なことは、切り捨ててはいけないこともあるってことでしょう。
また武田教授は、「これまで真実だとみんなが思っていることが、本当にそうなのか、一度疑った方がいいかもよ」というメッセージも多数発しています。これには、科学者らしい見識と研究調査力で、見逃されてきた側面を指摘していますね。たとえば、「地球温暖化で南極の氷が大量に溶けている」と思われているけど、調べてみたら、実は「南極の気温は年々低下している」とか。「温暖化でツバルが海に沈んでしまう」って言われているけど、実は「海面上昇は微量で、沈んでいるのは地盤沈下が主因だった」とか。へーそうなの的な事実が、武田教授の本や講演では多数紹介されています。
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主張が過激なだけに、いろんな反論があるの事実。先の『…なぜウソが…』に対して、『“環境問題のウソ”のウソ』みたいな本が出てきたり。そりゃそうでしょう。武田教授の発言だけを捉えれば、これまた一面的な見方になってしまうわけで、武田教授本人もそれは重々承知のこと。これも【50万部】も売れて、世の中のエコブームに異論を投げかけることができた成果だと言えるのかもしれません。
「わたしのメッセージをきっかけに、さまざまな側面から、みなさん一人一人が考えてくれるようになればいい」
この一言が、武田教授のスタンスをよく物語っていると思います。教授の専門は物理学ですが、その視野の広さは異質なのかも…講演を依頼した時、私はこう感じました。とかく大学の教員というのは、専門分野を極めるタイプが多いからでしょう。物事を広い視点でとらえること。柔軟な発想で問題点を整理すること。それを科学の力を使って解き明かすこと。武田教授のメッセージがベストセラーになっているのは、こうした彼流のスタイルが、世の中に受け入れられているからなのかもしれません。。。