米AT&T、「地域限定一斉メール」サービスを開始
まずはお知らせです。雑誌『販促会議』2011年4月号にて、「注目を集める位置情報活用、瞬間を逃さないリアルタイムプロモーション」という記事を掲載させていただきました。文字通り「位置情報」と「リアルタイム」というキーワードをどのようにプロモーションに活かすのか、を考える内容となりますので、ご興味のある方は是非。
ということで、せっかくなので今日は関連ネタで:
■ AT&T Begins Service to Text Users in Certain Locations (New York Times)
米AT&Tが開始する新しいサービスについて。テキストメッセージによる広告配信サービスなのですが、「ジオ・フェンス」が可能、つまり特定の地域内にいるユーザーだけに配信できるというもの(当然ながら受信を了承したユーザーのみが対象)。同技術を提供するPlacecast社との協力によって生まれたサービスです。ちなみに料金は送られたメッセージ数による従量制、もしくはイベント単位での定額制になるとのこと。
どのようなテクノロジーによって可能にするかという点に差はあれど、似たようなアイデアは以前からあったので、活用法については想像しやすいのではないでしょうか。記事内では以下のような企業が紹介されています:
- JetBlue: 空港内にいるTrueBlue会員に向けてメッセージを送信
- S.C. Johnson: ウォルマート周辺にいるユーザーに向けてディスカウントを提供
- Hewlett-Packard
- Kmart
確かに小売店については活用しやすいサービスかもしれませんね。折り込みチラシやビラ、クーポンの電子版というイメージであれば使いやすいでしょうし、ユーザーにとっても比較的受け入れやすい広告になるのではないでしょうか。もちろん頻度や内容などにもよりますが、日本でも小売店が携帯メルマガなどを活用していることを考えると、一定の需要は見込めると思います。またAT&Tでは天気予報や道路情報といったインフォメーション提供を同サービスを通じて行うとのことですので、こうした機会を通じてユーザー側も「自分の居場所に基づく情報提供」というスタイルに慣れてくれば、さらに創造的な使い方も生まれてくるのではないでしょうか。
その一方で、自分の居場所、しかもリアルタイムの位置情報というのは究極の個人情報になり得ます。ちょっとしたことからユーザーが拒絶反応を示し、二度と使ってもらえなくなってしまうリスクもあるでしょう。例えば歓楽街を「歩いているだけ」なのに、風俗店からの宣伝がバンバン入ってくるというのは人によっては不快感を覚えるかもしれません。また品川にある会社にいったはずの夫のケータイに、なぜか府中にある小売店のディスカウトメールが届いている、などという状態もマズイ事態を引き起こすはずです。こうした例は極端な話ではありますが、いずれにせよ、企業側には慎重な運用が求められることでしょう。
とは言うものの、個人的には先ほど述べたように、試行錯誤を通じて企業/ユーザーの間に慣れが生まれ、最適解が見出されるようになると思います。その意味でもAT&Tのサービスにどのような事例が生まれてくるのか、注目ですね。
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