本をフィルタリングせよ
巷では携帯電話のフィルタリングが話題になっているが、ちょっと待って欲しい。もっと危険なものが野放しになっているではないか。それは「本」だ。そう、皆さんの身の回りにあふれている、あの本である。ちょっと考えてみれば、その危険性は明白なはずだ――
1. 本は中毒性がある
昔から「本の虫」などという言葉があるように、本は人間を虜にする。「本を読んでいて、ふと気づいたら何時間も経っていた」という経験は誰しもあるはずだ。まだ分別のない未成年者なら、自制することはさらに難しいだろう。
2. 本は場所を選ばない
ケータイやPCと違い、本は電源を必要としない。従っていつでも、どこでも、いつまでも読める。風呂の中に持って行くことも可能だ。1.の中毒性を考えれば、分別のない未成年が「風呂で読書に熱中していまい、のぼせて命を落とす」という事故が起きていないのが奇跡的なぐらいだ。
3. 本は消せない
オンライン上のコンテンツと違い、本として出回ったものを消し去ることはできない。誤りがある箇所や、問題表現が含まれる箇所を訂正することも不可能だ。危険な情報が残る恐れは、デジタルコンテンツ以上に高いだろう。
4. 本は貸し借りできる
DRMやコピーワンス、テンスなどといった言葉は本には無関係だ。人々の手から手へ、簡単に流通させることができ、コピーも容易である(これを覆す動きも出てきたが)。たとえ危険人物への販売を規制できても、その人物が誰かから本を借りてしまうかもしれない。
5. 本は人を動かす力がある
どんなくだらない意見でも、活字になるとそれらしく見える。ブログ時代にもかかわらず、自費出版が盛んなのは「活字の魔力」に皆が魅了されているからだろう。歴史を紐解けば、本は宗教改革や独立運動の原動力になることもあった。分別のない若者を扇動するのに使われる危険は十分にある。
これで分かっていただけただろうか。さぁ、いますぐ総務省に訴えて、未成年者が自由に本にアクセスすることを禁止しよう!
――などということは全く考えていませんので、ご容赦下さい。