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アルジャジーラ、Twitter上で「ケーブルテレビ会社にお願いしよう!」キャンペーンを実施

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「CNNにとっての湾岸戦争が、アルジャジーラにとってのエジプトである」――最近、こんな表現をネット上で見かけるようになりました。言うまでもなく、1991年の湾岸戦争報道でCNNが名を上げたことを引き合いに出して、今回の北アフリカ情勢報道において、アルジャジーラが存在感を増している状況を表しているわけですね。

確かにアルジャジーラは現地から貴重な情報を発信しているだけでなく、ネット上でのストリーミング中継(iPhoneアプリも)、映像・画像コンテンツのクリエイティブコモンズ・ライセンス下での提供など、新しいメディアを積極的に使おうという姿勢を見せている点も特筆すべきでしょう(参考記事)。チュニジアとエジプトの状況を「ソーシャルメディアが大きな影響を与えた」と評価する流れもありますが、一方でこの事件は将来「アルジャジーラがその地位を築いた」として思い出されるかもしれません。

そんなアルジャジーラがTwitter上で、#DemandAlJazeeraというハッシュタグに対してプロモツイート(広告主が指定した検索結果ページの最上部に宣伝ツイートを表示できる機能)を出していることをご存知でしょうか?例えばいま確認してみると:

DemandAlJazeera

こんな感じ。表示されるツイートは数パターンあるようですが、いずれもAl Jazeera Englishのページへのリンクが紹介されています。さらに同ページの一画には、こんなコーナーが設置されていて:

DemandAlJazeera_square

米国内の郵便番号を入力するようになっています。入力して"GO"をクリックすると、次にケーブルテレビ会社を選ぶプルダウンメニューが表示され、選択すると最終的にこんな画面が:

DemandAlJazeera_form

これはいったい何かというと、実はケーブルテレビ会社に対して「アルジャジーラをチャンネルに追加することを誓願するメール」を送信するフォーム。ハッシュタグ(#DemandAlJazeera)の通り、「アルジャジーラをお願いしよう!」というキャンペーンなわけですね。

またClickZの報道によれば、Trending Topics欄でもこの"#DemandAlJazeera"がプロモーションとして掲載されていたとのこと。世界全体を対象にしたTrending Topicsに広告を出す場合、1日10万ドルの料金がかかるらしいと同記事では解説されています。

ご存知の方も多いと思いますが、米国内のケーブルテレビでアルジャジーラと契約しているところはほとんど存在せず、テレビでアルジャジーラを見ることはほとんど不可能。しかし前述の通り、アルジャジーラは今回の事件に関するコンテンツをクリエイティブコモンズ・ライセンス下で提供していますから、多くのニュース番組で彼らの作成した画像・映像が使用されています。またストリーミング中継へのトラフィックのうち、実に50パーセント以上が米国内からのものなのだとか。従ってこのような道筋さえつければ、アルジャジーラの依頼に応え、地元のケーブルテレビ会社に働きかけてくれる米国人は多いだろう……という狙いなのでしょう。

このキャンペーンについて、Nieman Journalism Labで解説記事が書かれています:

#DemandAlJazeera: How Al Jazeera is using social media to cover Egypt—and distribute its content in the US (Nieman Journalism Lab)

#DemandAlJazeeraの狙いが、(言葉は悪いですが)エジプトの混乱に「乗じて」、アルジャジーラというテレビ局をPRするものであることが明確に述べられています:

Al Jazeera has explored using promoted trending topics on Twitter before, Minty said, but couldn’t find the right conditions for it. Do you use it to promote single stories, broader coverage, or the network itself? Egypt, however, provided the right opportunity for experimentation. ”We knew a lot of people would be turning to Twitter to get news as we’ve seen in past world events,” Minty said. “Specifically in breaking news events, people use the search function quite a lot.”

Minty(※Riyaad Minty、アルジャジーラのソーシャルメディア責任者)によれば、アルジャジーラは以前"Promoted Trends"広告の使用を検討したことがあったが、どのような条件で設定するのが良いか結論が出なかったそうである。それで何をプロモーションすべきなのか――単独の事件に関する報道か?より広いテーマに関する特集か?それともアルジャジーラというテレビ局自体か?というわけだ。しかしエジプトの事件は、実験するのに格好の機会を提供した。「過去の世界的事件でもそうだったように、今回も多くの人々が、関連情報を得るためにTwitterに注目するだろうと考えていました。特に速報の場合には、人々は検索機能を多用しています」とMintyは語る。

流石に報道でもソーシャルメディアを活用しているだけあって、プロモーションにおいてソーシャルメディアをどう使うべきか、慎重に研究してきたようです。まだどの程度の効果が出るのかは未知数とはいえ(ちなみにHuffingtonPostの報道によれば、エジプト関連の報道以降、アルジャジーラ公式サイトへのトラフィックは2500パーセント上昇したとのこと)、以前ご紹介した「NPRによるFacebook活用モデル」と同様、アルジャジーラは宣伝面も含めた形での「マスメディアによるソーシャルメディア活用モデル」を示しつつあるのではないでしょうか。

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余談ですが、Googleリアルタイム検索でもプロモツイートは広告として認識されるようです:

DemandAlJazeera_Google_Realtime

ご覧のように、プロモツイートが最上部に表示され、さらに背景色も変えられた上で"Ads by Twitter"と表示されています。広告であることを明確にしようというGoogle側の対応だと思いますが(確認していませんので間違っているかも)、かなり目立ちますし、プロモツイートの宣伝効果は想像以上に大きいかも?

【関連記事】

NPRが示す「マスメディアによるFacebook活用モデル」 (2011年1月21日)
【エジプト反政府デモ】ジャーナリストはソーシャルメディアをどう活用しているのか? (2011年2月1日)

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