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江戸東京博物館の所蔵写真にジオタグがつく日

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ドラえもんのひみつ道具に「タイムテレビ」というものがあります。文字通り、過去や未来を見ることができるテレビなのですが、少なくとも「過去が見られる」という部分を実現してくれるiPhoneアプリが登場しました:

Museum of London: Streetmuseum

Museum of Londonが提供を始めた"Streetmuseum"というアプリについて。「ストリート・ミュージアム」という名前の通り、街そのものを博物館にしてしまうというもので、一種の観光アプリと言えると思います。ただし従来の観光アプリと一味違うのがAR(Augmented Reality、拡張現実)を使った機能。ロンドンの街中に出かけ、特定の場所でカメラを掲げると……過去にその場所で撮影された写真が、現在の風景と重ね合わせて表示されるとのことです。

こちらで実際の写真が何枚か紹介されています:

Museum of London launches incredible augmented-reality iPhone app (Mirror.co.uk)

当然ながら、どんな場所でも過去の風景を見ることができるわけではないのですが(当たり前ですね)、それでも200枚以上の写真が用意されているとのこと。実際にその場所で、過去にあった出来事を、現実の風景に重ね合わせて見る。なかなか臨場感のある体験かもしれません。

実は似たようなアイデア、以前にも紹介していました:

歴史を語る拡張現実 (シロクマ日報)

ドイツ・ベルリンで実施された「壁ガイド」というサービスについて。こちらもGPS搭載端末を使い、ある場所に行くとその場所で撮影された写真・動画が見られるというもの。GPS付きのスマートフォンが普及してくれば、専用端末を用意する必要がなくなるわけですから、今回の"Streetmuseum"のようなアプリが今後ますます増えてくるのではないでしょうか。

ただしそれに必要なのは、過去の写真(写真に限らず、動画や絵画でもOKですが)に位置情報を紐付けること。逆にジオタグが付いたコンテンツが一般に公開されていれば、それを自由に使って様々なアプリやサービスが生まれてくるのではないでしょうか。そうなれば美術館・博物館がアプリの提供まで行わなくても、観光関連の企業や組織が優れたアイデアを実現してくれるでしょうしね。

とはいえ、予算難で苦しむ美術館や博物館に「皆さんの予算で所蔵品にジオタグを付けて下さい!」というのも酷な話です。ここはひとつ、観光立国の名の下に、国家予算で「ジオタグ整備プロジェクト」を実施してしまうというのはどうでしょうか?個人的には、まずは江戸東京博物館あたりの所蔵品全てにジオタグを付けて、「幕末・明治の東京を見よう!」なんてブラタモリ風のアプリが増えることを期待しているのですが……。

< 追記 >

ちょっと関連。「ベルリンの壁」つながりということで、ARブラウザの1つとして有名な"Layar"では、こんな「ベルリンの壁レイヤー」が登場しています:

The Berlin Wall is back (Layar)

Berlin_Wall_Layer

ご覧のように、こちらはCG+現実空間の映像でベルリンの壁を再現するというもの。観光ツールとしてでなく、教育分野への応用も可能かもしれません。

【○年前の今日の記事】

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