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米電力会社の約7割が「スマートグリッドの優先度は高い」と回答

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エネルギー分野でのリサーチを手がけている米企業"GTM Research"から、新しい調査結果が発表されています。有料レポートですが、サマリーは無料で公開されていますので、興味のある方は以下のリンクをチェックしてみて下さい:

The 2010 North American Utility Smart Grid Deployment Survey (GTM Research)

北米のユーティリティ企業50社以上を対象にアンケートを実施、その結果をまとめたもの。ちなみにサマリーのダウンロードはこちらから可能ですが、無料のユーザー登録が必要になります。

さて、気になる内容ですが。まずはタイトルでも示したとおり、約7割の企業が「スマートグリッド関連プロジェクトの優先度は高い」と回答しています:

One thing is clear; many North American utility executives hold smart grid initiatives as a very high priority. 70% of survey respondents regard smart grid projects as either a strong priority or the highest priority relative to their overall business plans between now and 2015. In addition to the data provided in the chart below, 87% of survey respondents claim that senior management at their respective utilities is assigning special importance to smart grid initiatives.

明らかな点が1つある。北米ユーティリティ企業の幹部の多くは、スマートグリッド戦略に高い優先度を置いている。アンケート回答企業の70%が、「現在から2015年までの間、自社のビジネスにおいて、スマートグリッド関連プロジェクトの優先度は高い/最も高い」と回答している。下図で示されているデータに加え、アンケート回答企業の87%が「上級管理職がスマートグリッド戦略について特に重視している」と述べている。

smart-grid-survey_1 

とのことで、残念ながら各社が具体的にどこまでの計画を持っているのか、また「スマートグリッド」という言葉にどのような内容を含めているのかは分かりませんが、意識の面では十分に「スマートグリッド機運」が高まっていることが示されています。

ここまではまぁ、ある意味で予想の範囲内。米国ではオバマ大統領が「グリーン・ニューディール」という方向性を明確に打ち出していますし、それに応じて電力会社の意識が高まっているのも当然のことでしょう。それよりも個人的には、サマリーの後半にある結論部分に関心を引かれました。例えば、

Who ultimately owns granular consumer energy data? Based on the results of this question, it's very clear that this is still a major unknown within the industry.

消費者のエネルギー消費行動データを、究極的には誰が所有することになるのか? アンケートの結果は、業界関係者たちがこの問題に対し、明確な答えをまだ持ち合わせていないことを明らかにしている。

という部分。確かにスマートメーター等が整備され、今までになかった規模でのデータ通信が行われるようになれば、得られたデータを誰がどう扱うのかという問題が持ち上がることは想像に難くありません。実際、日本国内で行われた関連実験でも、データ通信のボリュームとコストが問題になったケースがあったとのこと。前回のエントリにも関係する話ですが、スマートグリッドの「スマート」さを誰がどう担保するのか――このある意味で根本的な部分について、まだ誰も決定打を持っていないということですね。

大量のデータを扱うことに長けている企業と言えば……やはり連想せずにはいられないのがGoogle。有線/無線ネットワークインフラにも興味を示し、エネルギー管理アプリケーションの提供、さらに"Google Energy"社を設立して電力売買にまで進出とあれば、スマートグリッド分野でGoogleが存在感を増したとしても何の不思議もないでしょう(事実存在感を増しつつあるわけですが)。いまから十数年後、Googleがユーティリティ企業としての顔を持つに至るという予想をしたとしても、あながち荒唐無稽とは言えないのではないでしょうか。

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