Twitter 時代の求人活動
以前、米国の家電小売チェーン「ベストバイ(Best Buy)」が、求人票に「Twitter のフォロワー数250名以上」という条件をつけて話題になったことがありました。日本のニュースサイトやブログ等でも取り上げられていたので、ご存知の方も多いでしょう。その一方で批判も多かったため、「250名」という具体的な数字は外されることになった――というところまで聞いているという方も多いと思いますが、その後に何があったか、HarvardBusiness.org で紹介されていました:
■ How Twitter and Crowdsourcing Are Reshaping Recruiting (HarvardBusiness.org)
件の「フォロワー数250名以上」というセンセーショナルな求人票により、Twitter や他のソーシャルメディア上で様々な議論が巻き起こることとなりました。そして……
What happened next is an indication of the future direction of recruiting: in listening to these conversations, Best Buy decided that the community had other ideas — and good ones — for how this job description should look, and what the qualifications should be. As a result, the job description was crowdsourced, and anyone with an interest was invited to post qualifications to the job role on Idea X, a forum for Best Buy customers and employees. The final job description spoke to the traits of the social media revolution we are all experiencing: humor, collaboration and authenticity. For instance, the revamped job description included a requirement that the Senior Manager "understand the following acronyms: RSS, SEM, SEO, PPC, CPM, CPC, LOL, IMHO, WTF, API, B2C, B2B, CTR, IM, PV, RON, WWW, TTYL, LMAO, ROTFLMAO, WYSIWYG and, most importantly, RTFM." It's unlikely that Best Buy would have come up with that on their own.
その次に起きたことは、求人活動の未来像を示している。ベストバイは周囲で起きた議論に耳を傾け、求人票の内容がどうあるべきかという点について、コミュニティの中にもっと良い意見があると判断した。その結果、求人内容はクラウドソーシングによって作成されることになったのである。興味があれば、誰でもアイデアを"Idea X"(ベストバイのオンラインフォーラムで、ベストバイの顧客と従業員が参加できる)に投稿することができた。最終的な求人票は、私たちがいま経験している、ソーシャルメディア革命の特徴を反映するものとなった――ユーモアがあり、コラボレーションによってつくられ、人々に信頼されるような内容になったのである。例えば、改良された求人票では、シニアマネージャーには次のような資質が求められた。「RSS、SEM、SEO、PPC、CPM、CPC、LOL、IMHO、WTF、API、B2C、B2B、CTR、IM、PV、RON、WWW、TTYL、LMAO、ROTFLMAO、WYSIWYG、RTFM という略語が何か理解していること。」このような内容を考えることは、ベストバイ自身には難しかっただろう。
とのこと。つまりソーシャルメディア上の反応に耳を傾け、人々からのフィードバックを積極的に求めることで、最終的により良い求人票をまとめたわけですね。もしかしたら、最初の「フォロワー数250名以上」という内容も、ソーシャルメディア上での反応を引き出すためにある程度意図的に行われたものだったのかもしれません。
ベストバイはWEB2.0の頃から、ウェブサービスやソーシャルメディアを活用してきた会社です。このような「会話」はお手の物なのでしょうが、それを求人という分野でまで活かせたのはさすがと言うべきでしょう。しかし彼らだけでなく、ソーシャルメディア時代には求人・求職の分野でも「会話」を取り入れることが可能だということを、この事例は示しているのではないでしょうか。
(※一部「ベストバイ」が「ベスト倍」になっていました。ご指摘感謝します!)
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