「失言」と言うまえに
Bogus News さんで座布団一枚もののエントリがありましたが、いったい「失言」って何なのでしょうか。数々の問題発言を行ったことを理由に、中山国交相が早くも辞任するそうです:
■ 中山国交相が辞任へ 問題発言に批判、麻生新政権に打撃 (asahi.com)
「成田空港は『ごね得』」「日本は単一民族」という発言、そしてここ数日の日教組批判。これでは波紋を呼ぶのも当然、といった感じですが、あえて問いかけてみたいと思います。これらの発言のどこが問題で、どんな理由で中山大臣は辞任する(もしくは更迭される?)のでしょうか。
中には「日本は単一民族」のように、問題外の発言もあります(話は逸れますが、多様性の利点に注目が集まっている時代だというのに、ここまでズレた発言をするというのも指導者として致命的でしょう)。しかし成田と日教組の問題については、少なくとも議論の余地はあるのではないでしょうか。誤解のないように言葉を足しておくと、ここでいう「議論の余地」とは、別に中山大臣が正しいという意味ではありません。そうではなく、彼も自信を持って発言しているのですから、それなりの根拠があるのでしょう。ならばそれを明示して、広く議論した方が良いと思います。
議論の結果、中山大臣の意見が不正確で、彼の考えに沿っていては社会にとってマイナスであることが明らかになるかもしれません。そうしたらその時点で大臣が自ら辞任するなり、総理が罷免するなりすれば良いのです。何が正しくて、何が間違っているのか分からないまま「失言」というレッテルを貼り、「内閣の失点になるから」「選挙に悪影響を及ぼすから」という思惑で表舞台から引きずり下ろしてしまっては、世間が騒がしくなっただけで何も残らないのではないでしょうか。
「失言」というのは価値判断を含んでいる言葉で、当然ながら「言ってはならないもの」というニュアンスがあります。今回、失言というレッテルが貼られてしまった時点で、こういう結末は予想されていたのかもしれません。まぁ中山大臣は以前から問題発言を行ってきた方なので、失言と呼ばれてしまったことには本人にも責任があると思いますが、「またあいつが言ったか」「彼が言うなら間違いだろう」的なイメージで語られてしまうのも問題ではないでしょうか。繰り返しますが、表面的なイメージで良し悪しを判断するのではなく、問題の本質が議論されるべきだと思います。
そういえば新しい首相も、これまで数々の「失言」で物議を醸した人物。それこそ選挙対策で発言を控えたり、議論を避けたり、「あいつが言うなら間違いだ」的な反応が起きたりなどということのないよう願います。
< 追記 >
いまニュースで速報が出ていました。中山大臣、辞任が正式に決まったそうです。