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英国首相まで巻き込んだ、Twitter 上の国民健康保険制度支持キャンペーン

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最初にお知らせを2つほど。まず、ITmedia エンタープライズさんで Twitter の定点観測記事を書かせていただきました。8月前半に起きたトピックをまとめてありますので、ご興味のある方はご覧下さい:

Twitter定点観測: 事件はTwitterで起きている (ITmedia エンタープライズ)

次に、@yasuyukima さんと @geekpage さんが主催される Twitter の勉強会、「スバツイ勉強会」に登壇者として参加することになりました:

「スバツイ勉強会」は9/11@オラクル青山センターです。 (Reason to be cheerful, part 2)

Twitter 界の著名人が一堂に会する(?)この勉強会。9月11日(金)19時からとなりますので、ぜひご参加下さい!

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というわけで本日のネタを。最近の英国では、政府が「Twitter 戦略テンプレート」を作成したり、軍が Twitter を奨励したりとなかなか羨ましい状況になっているのですが、今度は国民健康保険(National Health Service, NHS)の支持を訴える上で Twitter が一役買っているそうです:

'We love the NHS' campaign demonstrates power of Twitter (24dash.com)

ご存知の方も多いと思いますが、いまオバマ米大統領が医療保険制度改革を行っていて、米国内では侃々諤々の議論が起きています。で、一つの選択肢として英国を参考にした制度が示されたところ、右派の政治家たちから「(英国の制度は)邪悪だ」「オーウェル的だ」などといった非難の声が起きるという状況に。ところがそれに対して英国の関係者やNHS支持者らが激怒、抗議活動を始めることとなり、その一環として Twitter が活用されているわけですね。

具体的にはNHSを擁護するメッセージに"#welovetheNHS"(We Love the NHS)というハッシュタグを付けて発信しようというもので、労働党のゴードン・ブラウン首相と夫人のサラさん、さらには保守党のキャメロン党首までもが参加しているそうです。また、こうした Twitter を使った抗議活動に関心のある方にはお馴染みかもしれませんが、We Love the NHS 専用の Twibbon まで登場しています:

#welovetheNHS - Start Something! - Twibbon.com

Twibbon とは、Twitter のID・パスワードを渡すと自分のアイコンに指定されたマークを付けることができるというもので、それによって様々な主義主張をアピールできるわけですね。現時点で We Love the NHS のグループには約9,000人が参加していて、以下のようなアイコンを掲げています:

NHS

こうした動きがどこまで効果を持つかは分かりませんが(そもそも発端は米国の保険制度改革なわけですし)、なにしろ首相まで巻き込んで意見表明させてしまった今回の Twitter キャンペーン。大手メディアでも取り上げられていますし、インパクトの大きさから見れば大成功と言えるのではないでしょうか。

Twitter に限らず、こうしたソーシャルメディアを使った「デモ活動」は今後も拡大していくことでしょう。政治家としても、どこまで乗るか/乗らないかの判断を迫られる場面が増えてくるかもしれません。もちろんあるテーマに対してハッキリと白/黒つけられない場合もあるわけで、その意味で態度表明を迫られるということには危険もあるのですが、今回のように一部の政治家やメディアによって世論誘導が行われようとした際の対抗手段となり得るでしょう。マイノリティの意見を排除してしまうことのないような、適切な使われ方が定着していくことを期待したいと思います。

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