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昼メロがファンの手でウェブ連続ドラマになる日

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米国ではテレビドラマならぬウェブ連続ドラマ(Web series、日本ではウェブドラマというアプリケーションがあるので、ここでは区別のためにこう訳しておきます)が盛んに制作されているようですが、1つユニークな例が報じられていたのでご紹介しましょう。元々はソープオペラ(日本の昼メロのようなテレビドラマ)として制作されていた番組が、意外な形でウェブ連続ドラマとして復活するそうです:

Love That Dares to Tweet Its Name Sparks Web Series (New York Times)

その番組とは、米CBSが放映していた"Guiding Light"。最初はラジオドラマとしてスタートした番組だそうで、最近57年という歴史に幕が下ろされることが決定したのだとか。ところがこの中で Olivia というレズビアンの女性を演じていた Crystal Chappell という女優さんが、Olivia と彼女のパートナーである Natalia (ファンからは二人合わせて"Otalia"と呼ばれているのだとか)の話を何らかの形で継続するように上層部とスポンサーに依頼。残念ながら断られてしまい、ならばということで自らウェブ連続ドラマを制作しよう、という運びになったそうです。

もちろん"Otalia"には様々な権利関係があるのでそのまま再現できないのですが、それに近い形でレズビアンのカップルの話が描かれるとのこと。しかし大勢の関係者が無給で参加することを決めており、Natalia 役の Jessica Leccia さんも登場するのだとか。すでに"Venice"という番組名も付けられており、11月にスタートする予定だそうです。

さらに面白いのがウェブの活用法。当然ながら"Venice"の公式サイトが作られており(もちろん公式 Twitter も!)、他にも彼女たち自身の公式サイト、Facebook のページなどでプロモーションが行われているのですが、他にもこんな話が:

It’s a business model that costs next to nothing — only one Web designer is paid. And now Ms. Chappell has taken the next step: calling on fans to design the logo and music for “Venice” through contests. Ms. Chappell’s fan club president, Cathie Wagner, a 54-year-old married kindergarten teacher from Ohio, oversees 15 volunteers for Ms. Chappell’s Facebook page and Web site.

それはほとんどお金がかからないビジネスモデルだ。お金を払ってもらったのはウェブデザイナーぐらいのものだろう。さらに Chappell さんはもう一歩先に進んだ。コンテストを開催して、ファンに"Venice"のロゴや音楽をつくってもらうことにしたのである。54歳の既婚者で、オハイオ州で幼稚園の先生をしながらファンクラブの会長を務めている Cathie Wagner さんは、15人のボランティアを使って Chappell さんの Facebook ページやウェブサイトを管理している。

とのことで、クラウドソーシング的な展開があったようです。もちろん Chappell さん自身に人気や人脈があり、彼女が活動の「核」として機能したこと、また同性愛者という結束力のあるコミュニティから支持されたことが今回の話が具体化した背景にあるのでしょうが、逆にそういった条件さえ揃えば、ウェブ時代には1つのドラマシリーズが「テレビ局抜きで」作成できてしまうという可能性を示しているのではないかと思います。

ちなみに収益を上げることがまったく考えられていないわけではなく、

Ms. Chappell is considering a few financial models, polling fans to see if they would watch “Venice” with ads, pay a $10 per season subscription fee or buy products from potential sponsors.

Chappell さんはいつかの収益計画を検討している。例えばファンにアンケートをとって、"Venice"が広告付きでも観るかどうか、あるいは閲覧料として1シーズンあたり10ドルを取るというのはどうか、スポンサーから商品を買うのはどうかといった点を尋ねている。

だそうですから、継続性のあるウェブ連続ドラマ向けビジネスモデルを確立できるか?という点でも注目でしょう。はたしてどこまで人気を集めるのか、日本でも同じようにファンを巻き込んでドラマ制作に乗り出す芸能人が出てくるのか等々、興味は尽きません。

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