【Coffee Break】DAMとCMS(eBASEとDrupal)とPIMの違いを知る人は極めて少ない(今のところ)
凸版印刷をスピンアウトした常包浩司さんが開発したeBASEという製品があります。IT部門の方々やデジタルマーケティングに携わる方々には聞きなれない製品名かも知れませんが、企業でカタログや食品業界のチラシなどを作る方には馴染みの深い製品です。eBASEは主に以下の2つの基本機能を持つ製品です。
● マルチメディアコンテンツ管理機能
画像、文字、CAD、映像、Officeデータ等、あらゆるマルチメディアコンテンツを、タグ付きで登録・管理・出力が可能です。又、企業間でのデータ交換機能も有します。
● フレキシブルなデータ構造とノンプログラミング開発環境
各種マスタ(商品、顧客等)のレコード構造(項目)は属するカテゴリー別に異なります。カテゴリーの種類と同じ数のデータベース構造定義が柔軟に設定可能です。又、利用現場の多様なニーズにタイムリーに対応すべくフレキシブルに改変が可能です。これらを実現するノンプログラミング開発ツールも取り揃えています。
eBASEは、これらの機能をベースにCMS開発フレームワークを利用することでCMSとして活用できる、となっています。しかし、CMSというと格納したコンテンツをWebに表示するだけでなく、パーソナライズを行ったり、ワークフローを搭載し数百人のコンテンツ作成者をサポートしたり、グローバルな多言語をマネジメントしたり、PIMと連動したり、とコンテンツそのものの格納管理だけでないグローバルなマーケティングに活用できる機能を必要とします。もちろんeBASEもそれらの機能はカスタマイズなどで搭載することは可能でしょうが、eBASEの本来の目的は画像や動画などのマルチメディアコンテンツを管理下においてマネジメントするところにあります。
このことをさらに分かりやすくするため、米国のThe WaltDisney Companyの事例をご紹介しましょう。ご存知のようにThe WaltDisney Companyではミッキーマウスなどのコンテンツの画像や動画の著作権は非常に大切なものです。そこで、DAM(Digital Asset Management)システムを導入し、社内3000人、社外3000人が利用する共通インフラとして活用しています。契約管理システムと連動させコンテンツの配布範囲権限によって安全にコンテンツの共有化し、インターネットを通してプロジェクト毎にコンテンツを共有、外部ビジネスパートナーとのやり取りを効率化しています。このThe WaltDisney CompanyのDAMの活用は、著作権管理しなければならない文字、画像、動画などのコンテンツを自社の管理下においてマネジメントし、マルチユースで活用しやすくするところにあるのです。
一般的にDAMは、The WaltDisney Companyなどのグローバル企業の社内と、グローバルに散在する外部のビジネスパートナーなどでの活用が中心です。eBASEはeBASE Jrの無償配布などにより、日本の食品業界全体や建材業界に活用され、ドメステックなコンテンツサプライチェーンを司ることもあります。この2つはグローバルでの活用と日本の特定業界全体での活用、という違いはありますが、活用目的は同じなのです。
当然、The WaltDisney CompanyはCMSは別にあり、DAMでマネジメントされているデジタルアセット(コンテンツ)はそれと連携し活用されています。eBASEでも、格納されているコンテンツはDrupalなどに連携し、Webサイトやモバイルサイトに活用できますし、部分最適としてInDesignなどに連携し、出力主体の自動組版などにもマルチユースで活用できます。
CMSとPIMの違いを知る人は今のところ少ないですが、DAMとCMSの違いを知る人も多くはいません。定義云々というより、目的と手段でCMSとPIMとDAMの3つの違い(分離型、内蔵統合型であれ)が、自分の頭の中でしっかり整理されていないと、頓珍漢な話になってしいます。しかし、これもPIMの普及とともに整理されて行くのでしょう。
● CMSとPIMの違いを知る人は少ない(今のところ)
http://blogs.itmedia.co.jp/CMT/2015/08/_coffee_breakcmspim.html
● CMSやマーケティングオートメーションを全体から捉えたい方は、
【シーズン1】デジタルのマーケティング(全15話)をご参考ください。
http://blogs.itmedia.co.jp/CMT/1/
● 雑談のネタ【Coffee Break】
https://blogsmt.itmedia.co.jp/CMT/coffee-break/
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