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2006/08/21

どこかに、逃げ込んでいないか

ビジネス
 

 システム開発のプロジェクトに携わっていると、僕自身が開発しないせいかよく見えてくることがあります。それは、エンジニアが逃げていること。
 システム開発は、アウトプットが明確。のはずなのですが、実際には不明確なまま走り出すプロジェクトが少なくありません。だいたいは決まっているわけですが、途中でレビューを繰り返すうちに、ユーザーやプロジェクトオーナーも考えが変わってきたりします。頭の中がバージョンアップしてくるわけですね。
 またある時は、事情が変わってくる、ということもあります。そのシステム開発をすると決まったときと、今とでは状況や事情が少し変わっている、などという具合です。
 そのプロジェクトに関わる、プロジェクトマネージャーやリーダーたちは、一生懸命打ち合わせを繰り返し、意識あわせを繰り返すことでゴールに近づけようとします。
 しかしその一方、プロジェクトメンバーであるエンジニアは、リーダーと共に突き進むメンバーもいれば、なかには「決まったら教えてください」とばかりに、動かなくなるメンバーがいます。いわゆる、派遣エンジニア精神、とでもいうのでしょうか。そういう感性が染み込んだエンジニアに、その傾向が見られます。
 後輩を教えると称して、教育に逃げ込んでしまう人。プロジェクトが掛け持ちだから、と別プロジェクトの打ち合わせに出かけたまま帰ってこない人。そして、ひたすらメッセンジャーで誰かと遊んでいる人。皆さんの周りにもいないでしょうか。
 給料を貰っているのだから、自分はプロだ。最近、そう考える人も少ないのかも知れません。70点、80点の合格点で良い。そう考えているのでしょうか。100点を目指したいとは思わないのでしょうか。
 最近出版された本で、久石譲さんの感動をつくれますか?という本に書かれていますが、ものづくりを請け負う者としての姿勢はどうなのでしょうか。システムは芸術ではないかも知れません。久石さんのような音楽と比べるのは違う、と思う方もいるかも知れません。
 しかし、久石さんは「自ら創造する、好き勝手な音楽」を作っておられるわけではありません。映画音楽である以上、映画監督のオーダーであり、映画に沿ったものでなくてはなりません。どんなに素晴らしい曲だと自負していてしても、あまりにも映画のイメージと違う曲はダメです。没です。監督からNGが出れば、それで終わりです。やり直し。
 
 プロフェッショナル・エンジニアとして何をすべきか。そしてそのためには、何を身につけるべきか。勉強をするべきか。派遣エンジニアの精神が染み込んでしまうと、忘れてしまいがちなのかも知れません。
 いくら優秀な学校を出ていても、人生は卒業後のほうが長いわけです。当たり前ですが。学歴なんて、ほんの一コマでしかありません。良い学校を出た後に、どんな努力をし、何を見て、どんな過ごし方をするか、にかかっているように思います。
 以前、「上を目指す、って何を目指すのですか」と聞いてきた人がいましたが、上を目指すということはそういうことなのではないかな、と考えています。
 自分の子供が出来たとき、「おとうさんは、おかあさんは、こんな仕事をしているんだよ」と言える仕事をして欲しい、と。僕自身も子供が出来てから、何かくじけそうになったとき、強くそういうことを感じるようになりました。
 すみません、月曜の朝に何かメッセージを出したい衝動にかられました。

kumaboo

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コメント

2006/08/21 23:06

 今朝のこのエントリーには、ちょっと“ガツン”とやられてしまいました。
 “逃げ込む人”多いですよね。私自身もいつも”逃げてないか?”自問自答するようには心がけていますがそれでも安易に逃げてしまうことがよくあります。
 改めていろいろ考えてみる機会になりました。ありがとうございます。

2006/08/22 06:01

>yoshikawaさん
コメントありがとうございます。
そう仰っていただけると、嬉しいです。
いま、目の前で起こっていることです。(汗
でも、「派遣エンジニア」が日本のITの基本である以上、やむを得ないのでしょうか。。。

2006/08/23 00:00

 問題の根本はIT業界の契約慣習にあるとも思っています。
 派遣SEとなると、契約さえ継続してもらえればあとは時給換算なので実は基本的に「ゆっくりやって時間を引き延ばせば追加のフィーがもらえる。→仕事はやらないほうが最終的にもうかる」という図式があるのもこういった”逃げる”戦術にでる背景にありそうです。
 受注契約後は利害関係が逆転するというのは、派遣に限らず委任契約の場合によく起きる現象でなんとかならんものかと私も悩んでいます。
 最悪のケースでは、わざと(そう見えた)仕事をやらないでプロジェクトを遅らせて納期遅延分だけ契約を延長して、その分売り上げが上がって万歳!、という会社に出会ってしまったことがあります。

2006/08/23 02:49

失礼します。

委任契約の場合だけでなく、
請負契約でも似たことはありますよね。

悪徳施工会社のやり口
http://mozan.typepad.com/mozanblog/2006/08/post_8.html

SI業界に限らず、他の業界でも、
この手のことはあるかと思います。
(「下手な医者ほど儲かる」)

他の業界ではどうしているんでしょうかね。
やはり、「長年の取引にもとづく信用」とかでしょうか。

2006/08/23 04:38

>Yoshikawaさん
契約慣習は、間違いなくボトルネックだと思います。建築などと違い、成果物が目に見えにくい、というのもあるのでしょうが。
指示も明確にする。分かりやすい単位のタスクに落とし込む。そういう指示(依頼)が大切なのかも知れません。

>ronさん
コメント&TBありがとうございました。
ITというかSI業界の場合、建築業界とは逆なのではないかな、と考えています。(結果は同じなのでしょうが)
建築の場合、「部材」という明確な単位があるため、「悪徳」しやすい。つまり、どれだけ素っ飛ばせばどれだけ縮まる、というものが見えやすいのではないか、と思うのです。
一方SI業界の場合、作業が見えにくいため(見えにくくしている、と言えるのかも)、安易に延びてしまい、作業は増え、工数が増える。だから簡単に「オーバーワーク」になってしまう。儲けるのが下手、とも言えるのかも、です。
なんか旨く説明できていませんが。

2006/08/24 00:30

>ITというかSI業界の場合、建築業界とは逆なのではないかな、と考えています。
そうですね。
私は商習慣(契約慣習)や業界構造は建設業界に似ているが、制作現場は異なる、という風に思います。この「ギャップ」が、様々な問題を引き起こしているのかもしれません。
---
「ソフトウェア開発」は「モノ作り」ではない
http://blog.gcd.org/archives/50603640.html
---
ただ、あらかじめ仕様・設計が「完成している」建設業界ですら、同じような問題はあるようでして、単に「商習慣の問題」で片付けられないようにも思えます。
---
「下請け」的な仕事の場合、「エンドユーザの姿が見えない」というのも、大きな問題かな、と思っています。自分自身、エンドユーザ様にシステムを使っていただいて、感謝の言葉をいただいたりすると、「こんな自分でも役に立っている」と実感できて、それが仕事の原動力になっているように思います。

2006/08/24 01:41

 大木さん、ronさん、いろいろと参考になる意見ありがとうございます。
 私の場合この光景は派遣SEだけでなく、ユーザ部門とシステム部門、親会社と情報システム子会社との関係でよく見るので、しばしば改善案はないものかと考えていたのです。いつか自分のBlogの方でもきちんとこの委任側と受託側の関係も分析して書きたいと思っていましたが、頭の中を整理する非常に良い機会になりました。

2006/08/24 05:50

>ronさん、yoshikawaさん
僕自身も、以前から旨く言えるのであれば、少なくとも自社くらいは何とかなっていたのだろうと思います。
>ronさんの仰るとおり、原動力、エネルギーの基は大切ですよね。
>yoshikawaさん
結構簡単なようで、永遠の課題かも知れませんね。
特に親会社と子会社といった、別採算になった途端に、難しくなるように思います。

2006/08/25 01:45

大木さん、こんばんは。
ただただ納得です。
とりあえず自分のボールをどこかに投げて、自分の作業を瞬間的にでも無くすことが管理だと思っている人もいますので。じゃあプロジェクトとしては前に進んでいるの?と考えると結局は自分の首をしめることになりかねないのかぁと感じています。

2006/08/25 05:10

>手文庫さん
コメントありがとうございます。
丸投げと「任せる」は違うのですが、なかなか理解できない人がいるようです。
ゴールがイメージ出来ないんでしょうね。(イメージさせて、それを共有するのは、プロジェクトマネージャーの仕事なのだと思いますが。)

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