「知的財産」あるいは「知的資産」と言われる「知財」ですが、ご存知の通り英文ではIntellectual Propertyであり、直訳すると知的所有権です。
マイナスの所有権も世の中には存在しますので、プラスの財産とは限らないですが、いずれにしても何がしかの計算(あるいは測定)があった上でこう呼ばれているはずです。
日本では、知財評価(面倒なので知財の財産価値を計算することをこう呼ばせていただきます)について、とてもネガティブな傾向にあります。主な理由としては、
①測定する手段として確立したものがない
②有形資産は評価しやすいが、無形資産は評価しにくい。
③評価の必要がなかった。
等かと思います。メーカー等、技術を中心に生業を立てている会社では他にも、当該知財を発明・発案した人でないと十分な価値を見出しにくいという理由もあるようです。
では、日本経済が知財評価がしにくい環境という前提に立った場合、大きく分けて以下のような影響があると思われます。
①貸借対照表の資産の部が縮小される。
②資金調達手法が限定される。
③ひいては日本国中の資産が過小評価される。
④技術成果としての知財が徒に小さくなってしまう。
そしてこの4点(他にもあると思いますが)は様々な経済的影響を日本経済に及ぼします。
①の影響としては、税収が減る、会社の規模が実態より小さくなる、知財を意識した経営を放棄する等等
②の影響としては、土地や機械等の有形物に担保が偏ってしまいがちとなり、借入の途が極端に狭き門となるため、土地や機械を多く持たないIT業界には全く不向きなものとなります。いきおい、IT業界での資金調達もしくは資金導入は、増資か売上に頼ることとなります。
「何故IT会社は上場したがるのか?」とある人に聞かれたことがありますが、そうしないとまとまった資金調達が出来ないのです。。。
③の影響として、仮に日本全国の貸借対照表を総合計した表があると仮定すると、それはとても実体経済と乖離した小さな資産となると思われます。たとえば、ある通信キャリアの年間研究開発費は3000億円と言われています。これを毎年経費償却するわけですが、このうち半分を知的財産として固定資産化したとすると、年間1500億円が固定資産計上されます。
以上を総合すると、④に至るという訳です。
恣意的な資産計上はともかく、企業収益の礎となっている知財を資産計上せずに、放置することは、技術者のモチベーションのみならず、財務手法にも大きな足かせとなっている、と日々思わざるを得ません。
~続く~
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