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「楽しく仕事するにはどうしたらいいか常に考えていたいよね」という未来志向コラム

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2006年12月4日の投稿

2006年12月24日 »

最近世の中で騒がれているキーワードのひとつに「いじめ」というのがあり、毎日のようにワイドショウやなんかで取り上げられています。遅すぎではあると思いますが、教育改革会議なんていう政府主導の議論をする場もやっとできたようですし、教育問題が真剣に議論すべきだということが明確になったことは良いことではないかと思っています(それにしても遅すぎですけれど。。)。

この件に関しては、問題認識に関して本当に象徴的な例だなあと思える点が2点あったので書いておきたいと思います。問題認識に関する日本人の特性なのか、はたまた人類共通の特性なのか?

1)問題が顕在化しないと本気で着手しない

2)問題点を曖昧な言葉でキャンディーコートしたがる。

「いじめ」の問題に関して注目したこの二点、何で挙げたかというとまったく同じ図式が世の中のビジネスの風景でも起こっていることがあって興味深いからです。

1)問題が顕在化しないと本気で着手しないに関しては説明するまでもなく、どこの職場・現場でもあることでは無いでしょうか?プライオリティ付けを誤ってしまい、ビジネスインパクトが大きい問題が思っていたよりも早く紛糾してしまった時なんかに良くあることなのかもしれません。

この点に関しては、やはりリーダーシップをとる人間、つまり部門の長かプロジェクトマネジャーがアラートをあげないとなら無いでしょう。

ヘビーな問題に対してどこまで先を読んでアラートをあげられるか、どこまで気づくことができるかが指導者の条件であるといえます。国の指導者は自分たちの立場を考えてか調整の面倒さを考えてか、アクションがいちいち遅いですが、企業でそんなことが起こっていたらその企業は危ういと思ったほうがいいでしょう(まあ国も危ういのですけれど。。)。自分の業務負荷を考えてアラートしないなんていうのは論外でリーダーの資格はありません。気がつかない人もまたしかり。曖昧なものはすべてToDoに落としていかないとなりません。

2)問題点をキャンディーコートしたがるについては、つまり巧みに曖昧なキーワードで問題点をあいまいにして置きたがるということです。

誰だか忘れてしまいましたが、この「いじめ」の件に関して、テレビで良いことを言っていました。

「いじめ」という言葉を使うのが良くない。「いじめ」という言葉が実際に行なわれている犯罪行為を抽象化しソフトな印象をあたえてしまっている。「いじめ」という呼称で認識されている行為の範囲で実際に行なわれている内容は「暴行」であったり「恐喝」であったり「脅迫」である。

というようなこと。

まさにおっしゃるとおりで、このようなキャンディーコートされた言葉で犯罪行為が表現されることは結構多いです。

一時期同じ理論で話題になっていた言葉に「援助交際」があります。
「援助交際」と表現するとやわらかい印象で、ポップに聞こえてしまいますが、実態は「女子学生売春」です。最近はもっとポップ度が増してきて「サポート」なんていっているようですが、これも実態は同じ「女子学生売春」です。

「私売春してるんだ」とはいえなくても「私援助してもらってるんだ」って言うのは言いやすいですよね。

ビジネスのシーンでよくある「情報共有」とか「ゼロベースで考えてみよう」というのもこれに近いものがあるのではないでしょうか。

「情報共有」という言葉で表現されているものの大半は「報告・連絡・相談」であるといえると思います

「情報共有してくださいね」なんていうほうがリベラルな感じがして僕も良く使ってしまうのですが、それによって何かがあいまいになっていることは否めないでしょう。その何かの多くの場合は「責任」では無いでしょうか?

「ゼロベースで考えよう」という言葉も似たようなところがあるといえます。話が進んでいる案件で、その次の一手をどう打つかでにつまってしまっているブレインストーミングの最中に良く出る言葉ですが、一見すっきりするし煮詰まった頭をクールダウンさせるにはよいことのように思えますが、それはブレインストーミングを継続するだけの知的バイタリティが欠如しているにすぎないことがほとんどです。つまりは「(よくわからなくなっちゃったし間違っているような気もするから)一度ご破算にしてもう一度最初から考え直そうよ」ということになります。

それも、まあ有かもしれませんが、それまでの工数/工程をチャラにするという意味であることを認識しなければなりません。認識していれば軽々しく「ゼロベースで」という言葉は出ないのではないかと思ってしまうときもあります。

「いじめ」=「恐喝」「暴行」
「援助交際」=「売春」
「情報共有」=「報告・連絡・相談」
「ゼロベース」=「ご破算にして一からやり直し」

この構造で何が曖昧になっているのかを理解する必要があると思います。

ヒサヒコ

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白石 久彦

白石 久彦

最近は趣味と仕事が融合するかのごとくデジタル音楽配信の会社にて、いろいろとやっています。
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