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ビジネスとテクノロジーの間には深い溝がある?

SAP HANA SP10で強化された機能

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先週の話になりますが、SAP SELECTの2日目でのSAP HANA とSAP Analyticsの発表内容がとても充実していたので、2回に分けて内容を整理したいと思います。今回はSAP HANAです。SAPは1日目から一貫して強調していたのが、HANAはデータベースとして産まれたが、リアルタイムデータプラットフォームに成長しているという点です。SAP HANAは、2010年に最初のサービスパックSP1のリリース以来、SP5でのOLAPとOLTPの統合、SP6でのプラットフォーム化を経て、データプラットフォームとしての機能拡張を重ねてきました。2015年7月2日、日本市場で提供開始となったSP10の強化ポイントは、IoTやビッグデータとの接続性や信頼性の向上です。

エンタープライズレベルでのIoTとの接続

HANAでは、企業情報システムで扱う構造化データに加え、ソーシャルネットワークのデータ、テキストデータ、地理空間情報データ、マシンデータ、RFIDのデータを単一のプラットフォーム上で処理します。SP10では、より高度な分析ができるよう以下の点が強化されています。

  • 地理空間情報:IoTでは多くのデータが地理空間情報と紐づけられている。どのように紐づけるかは比較的単純であるが、分析が複雑になるのが頭の痛いところ。HANAではすべて1か所に集めて分析するしくみであるため、非常に高速に分析することが可能。
  • テキストマイニング:SNSでやり取りされるデータを分析したいというニーズに応えるもの。SNSの中で言及される会社の名前、人の名前、製品の名前といったソーシャルデータを抽出するだけでなく、コメントがポジティブなのか、ネガティブなのかという感情も分析可能。HANAの場合はDBの中にテキスト処理エンジンがある点がユニーク。
  • NUMA(Non-Uniform Memory Access):12TBを超えるメモリーの大規模システムをサポート。巨大なデータセットを高速処理し、全体の処理性能を改善する。ワークロード分散も視野に入れた将来のハードウェア設計に必要なアーキテクチャー。

ビッグデータへのアクセスとマネジメント

Hadoopは無限のストレージを提供するものです。リアルタイムに結果を提供するプラットフォームであるHANAにとっては無視できない存在であり、SAPはデータプラットフォームに「包括的に」組み入れることが必要と判断しました。SAP HANA SP10では、企業がCloudera、Hortonworks、MapRといった最新のHadoopディストリビューションを導入できるよう、スマートデータインテグレーション機能が提供されます。

データセンター対応の強化

企業情報システムにおいて、ミッションクリティカルな情報システムは依然として重要性の高いものです。事業継続性を確保するには、高可用性と高障害対応性はもちろんのこととして、ダウンタイムが発生したときのデータセンター間の切り替えを迅速に行わなくてはなりません。SAP HANA SP10では、システムダウンタイムを短縮するため、1対nの非同期レプリケーション、ダイナミックティアリングの自動ホストフェイルオーバー、増分バックアップなどの機能が提供されます。

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