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ビジネスとテクノロジーの間には深い溝がある?

SAP S/4 HANA で実現する"パーフェクトエンタープライズ"とは?

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2015年2月3日、SAPはR/3から数えて実に23年ぶりとなる新製品S/4 HANAをリリースしました。この製品名はSimpleのS、第4世代の4を取ってS/4 HANAとのこと。3日後の2月6日、この新製品の国内での発表会において、登壇したスピーカー達は、企業のこれまでのビジネスプロセスを完全なものに変えることのできる製品であることを口を揃えて強調していました。

スピードとアジリティの価値

SAPジャパン(株)代表取締役社長の福田譲氏は、国内で小売業を営むSAPユーザーを例に、既存のERPシステムのアーキテクチャーの限界について説明し、背景には基幹系システムと情報系システムの連携が複雑であることを指摘しました。例えば、現場の担当者が何らかの策を打つ必要性に気が付いたとしても、手を打つスピードに限界があります。

  • OLTPとOLAPの分離:バッチ連携なので翌日にならないとわからない
  • アクションまでのラストワンマイル:PCの前に座らないとわからない
  • ビジネスネットワークへのカバレージ:企業内はカバーできていても、3PLなど外部パートナーまでカバーできていない
  • 完全なリアルタイムではない:お客様が来店したことがわかっても商品をおすすめできない
  • 基幹との連携:在庫があるかどうかわからないものをお客様におすすめできない

企業の競争優位に貢献するには、このような制約を克服し、スピードとアジリティを高めなくてはなりません。昨年末にスイート製品を先行する形で発表されたSAP Simple Financeは、「リアルタイムに企業の収益データを明細レベルで見ることができる革新的な製品である」と、SAP グローバル・カスタマー・オペレーションズ・プレジデントのRobert Enslin氏は述べました。ビジネスがうまくいっていない予兆を把握したとき、ユーザーはすぐにデータを調べ原因を見つけることができます。

鍵はデータ量の削減

最新版スイートのS/4 HANAは、カラム型インメモリーデータベースのSAP HANA上で稼働するよう設計されています。S/4 HANA 責任者のWieland Schreiner 博士は、「SAP Simple Financeのデータモデルを用い、HANAをプラットフォームとすることでデータ量を大幅に圧縮できる」と述べました。HANA上で稼働している従来のERPデータが118.6GBだとすると、S/4 HANAはその1/3の42.4GBまで圧縮できるとしています。さらに、財務アプリケーションでよく使うのは5年分のデータを格納していたとしても直近の1年分ですから、実利用データはその1/5の8.4GBとなります。モバイルデバイスを使う場合のスピードを考えると、「どんなデバイスでも快適に動く」という言葉に十分な説得力があると言えるでしょう。また、クラウドでもマネージドクラウドでもオンプレミスでも稼働するため、ユーザー企業の導入方針に即した選択肢を提供しています。SAP Simple Financeのデモでは、企業の収益をリアルタイムに明細データレベルまで見ることができ、既存の分析ソリューションに依存しない点が示されました。

気になる移行計画支援

OLTPとOLAPの共存はデータベースベンダーにとって大きなチャレンジであり、有力各社が対応を急いでいます。しかし、SAP HANAはユニークな存在であり、SAP S/4 HANAが他社のデータベースで稼働するようには設計されていません。国内ユーザー企業にとって悩ましいのは移行計画となるでしょう。アプリケーションやRDBMSへの既存投資が無駄になってしまうことは何としても避けたいところです。スタートアップ企業の場合、最初から新しいものを選べるという利点がありますが、大企業では基幹システムを10年以上使い続けたいとする企業が多く、大規模な移行をリスクとして考える企業も多いでしょう。また、日本企業は北米企業ほど企業経営のアジリティを価値として認めない傾向があるように思います。

SAP Business Suiteに関しては2025年までの保守契約の期間延長が可能になっており、移行までの検討期間は単純計算では10年ということになります。福田社長は、「国内21社のパートナーで構成されるS/4 HANAコンソーシアムがリーダーシップを取り、動作環境はもとより費用面での検証をサポートし、できるだけ簡単に移行が進むようユーザー企業を支援していく」と述べました。

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