オルタナティブ・ブログ > ITアナリスト ビジネスとITの交差点を横断する >

ビジネスとテクノロジーの間には深い溝がある?

デジタルマーケティングのゴールを考えてみた

»

組織のマーケティング活動をITで変革しようというトレンドが盛り上がってきました。ユーザー企業の中には、いち早く社内のお客様であるマーケティング部門とその業務活動を理解し、適切なサポートを提供しようと試みる方々もいることでしょう。そうした方々に向け、マーケティングに関するレポートを書きました。今回のテーマはデジタルマーケティングです。

「見失いがちなデジタルマーケティングのゴールとは?」

詳細はレポートの方に書いたので省略しますが、デジタルマーケティングにスポットライトが当たるのは、マスマーケティングのアンチテーゼとしてのOne-to-Oneマーケティングが再度注目されているためだと思います。One-to-Oneマーケティングというと、今や古典の趣の出てきたこの本を思い出します。

One-to-Oneマーケティングとは、「顧客一人一人に対して個別に展開されるマーケティング活動であり、顧客との双方向のコミュニケーションを通した良好な維持の維持することが重要である」というのが、一般的な認識ではないでしょうか。誤りではありません。しかし、著者二人(D. ペパーズとM. ロジャース)の本来の主張のうち、「顧客シェアの拡大」すなわち顧客あたりの売上の最大化というゴールが見失われているように感じます。

マーケティングに関係するIT商材は、ITベンダーにとって今後拡大が期待できるビジネス領域となっており、ユーザー企業の方々は今後提案を吟味する機会も増えることでしょう。ソーシャルメディアを始め、多様化したコミュニケーションチャネルを駆使し、顧客それぞれに向けてカスタマイズした対応ができるようになることはすばらしいことです。しかしそれは単なる手段であって、しくみを提供したところで満足してもらっては困ります。これからデジタルマーケティングに取り組もうとする方々には、ぜひ顧客とのつながりの中で学習したことがリピート購入につながることを理解してほしいと思います。そうでないと、CRMシステムのビジョンの輝きが薄れるのと同じ経験をすることになるのではと心配です。「顧客関係のマネジメント」で何をしたかったか?もう一度考えてみてください。

マーケティングのゴールは、以前と比べてはるかにITを活用する環境が整備されたとしても変わるものではありません。プロジェクト化を検討するときは、改めてマーケティング部門と目的意識を共有していただきたいと思います。

Comment(0)