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IT業界でベンチャービジネスの支援をしている執筆者が日々の活動ログと感じたことを、徒然なるままに書き綴っていきます。

顧客本位と自分本位

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今回で3回連続で立ち上げ屋さんを目指す人へのメッセージになってしまいました。今日は自分本位と顧客本位に関して、徒然に書いてみようと思います。  

 面白い話ですが、どんなに高飛車なビジネスをしていると評価されている会社でも担当レベルでは、「自分は顧客の事を第一に考えてサービスをしている」と思い込んでいると思っています。自分はどうかと考えてみれば、ひょっとしたら自分も自分本位でサービスをしているかもしれないですがw。 おそらく、どんな人間でも多少なりとも主観と自尊心は絶対に存在するので、かならずどこかに「自分本位」は潜んでいると思います。  

 この「自分本位」を排除することがサービス品質の向上に確実につながると信じています。立ち上げ屋さんにとって、この品質向上がミッションクリアに直結はしませんが、必ず状況を好転させる基本部分であることは間違いないと思います。それは、契約先の会社のサービスが顧客本意に提供され、顧客から評価されれば、口伝、リピート・オーダーなどで、必ず売り上げに跳ね返ってくるからです。

「顧客本意のサービス」は重要です。

 そんな話は誰でも分かっていると思います。ここでは、そこからもう一歩踏み込んだ内容に触れたいと思う。どうやったら「自分本位のサービス」を見つけることが出来るか、自分の経験と独断で書いてみたいと思います。 下記項目で当てはまる部分があれば、その会社には自分本位のサービスが存在していると思います。

□メールでのサポート業務が必ず定時に終了している。
□営業、マーケティング部門の業務がいつも定時に終了している。
□ホームページに専門・技術用語が多い
□ホームページが分かりにくい(コンテンツが付け足し付け足しでつぎはぎで作られている)
□顧客満足度向上のための提案をすると「そこまでやら無くても良いと思います」という私的感情が含まれた否定的な発言が出てくる。
□営業部門メンバーが朝、会社にいない
□営業マンが使用している提案書がいつもワンパターンである
□顧客の意見を自社サービスに取り入れていない

 等など上げればきりがないので、この辺で止めておきますが、実際に多くの企業で当てはまっていることが多いのではないかと思います。しかし、一流企業といわれているような企業ではどうでしょうか?実際にほとんど当てはまらないのではないかと思います。では、一流企業と二流企業の違いはなんでしょうか?(一流かどうかは、会社の規模とは関係がありません。小さくても一流の企業はたくさんあります)

  私は「人材品質の差」であると思います。 私はそこそこ大きな企業から社会人人生をはじめましたが、いろいろなベンチャー企業の仕事をしていくと如何にいろんな人間がいるかを思い知ります。突然行方が分からなくなる人もいましたし、前日まで仕事が進捗しているような報告をしておいて、期日になって「実はやってませんでした」なんていう報告があったり、良い事しか報告しなかったり(これは結構多く出会っています。本当に知りたいのは悪い情報なのですが)、メールに対して返信をしなくて、仕事の依頼が伝達したかどうかもわからなかったり、などなどです。

 こういう状況に直面した際に、立ち上げ屋さんとして人員を全面的に入れ替え、人材の品質を上げるという事も方法としては存在します。しかし、そんな提案は人事部の仕事であり立ち上げ屋さんの仕事ではそもそもないですし、仮に実現しても状況はあまり変わらないとも思っています。何故なら経営者は社員を一流にも二流にもできると思うので、入れ替えても、経営のやり方が変わらなければ、改善はしないと思うからです。社員を入れ替えるなら経営陣の誰かを入れ替えたほうがよっぽど良いと思っていますw

 所詮、立ち上げ屋さんが請け負う仕事は、人材がいない真っ白なキャンパスのような仕事か、転換期にさしかかり、既に良い人材が流出したあとのような仕事しかないのです。 ここは腹をくくって、持ち駒で勝負をかけるしかないのです。

 では、どうすれば人材品質が上がるのでしょうか? 私はその解は下記であると信じています。

1.「理由づけ」と人員の精査 
 仕事において「なぜ、そうしなければならないか」そして「その作業の対価として給与が支払われていること」の徹底します。これが理解できない人間は、厳しいですが去っていただくことも視野に入れるべきだと思います。(コスト意識が無い人は、一般的に仕事の品質も悪く、パフォーマンスも悪いと思っています)

2.手本を見せて、やらせてみる
 自ら現場作業を行い、手本を見せることが大事だと思っています。この会社でも、自分達でもやればできる感覚をもたせることです。これにより高品質なサービスを実現できる喜びと市場・顧客からの反応を体感でき、顧客本位で動くようになるベースのマインドが生まれてくるようになります。

3.信賞必罰 良いこと悪いことを明確にする。
これは、簡単そうで、しっかり組むとなかなか難しいです。何故なら、企業では良いこと悪いことの基準が会社のビジョンになるからです。このビジョンがしっかりしていないと、サービスのみならず、営業のセールストーク、対外的な文章なども全てぶれますw 但し、この基準が明確になれば、社員が何をすればよいか、何が顧客にとって一番提供するべきサービスかわかるはずです。

 なんて、随分と堅いことを書いてしまいましたが、この手の話は、著名な本などにも多く記載されているので、私の話よりそっちの話を読んだほうがはるかにためになると思います。よって、最後は直球的な自分なり解を書こうと思います。

 私的な解としては、「喧嘩」であると思います。

 自分に甘えて自分本位なサービスを平気で行う相手には本気でぶつかって、理解してもらうしか方法は無いと思います。しかし、実戦では(うまくいっていない会社は特に)そういった自分本位な人間が多数派を占めている事が多いので、大勢を相手にするのは結構大変です(自分本位がその会社の常識になっているので、かなり奇人扱いもされますしね)。そういった場合に必要となるのはやはり、自分自身を徹底し作り上げた「顧客本意のサービス」と強い信念をもって、相手の心を動かすことが一番上策と信じています。

実績に裏づけられた発言や企画。
苦労して作り上げた「顧客サービス」。
「絶対実現するんだ!」という鉄の意志。

 事業の核になる立ち上げ屋さんが真面目な人間であれば、時間をかければかけるだけ、そして苦労すれば苦労するだけ、企画や発言は重くなり、自ら実践するサービスの品質は上がり、そして、その意志は時間と苦労を積み上げた分だけ、強くなると信じています。 自分本位サービスを顧客本位に変えるためには、社員のマインドを変える必要があり、その為には、立ち上げ屋さんである、自分がまず実践しなければいけないですよね。

 私も精進します。お互いに頑張りましょう。

 それでは今日はこの辺へ

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