【自著紹介】『ストーリーで学ぶWindows Server』
新しい書籍が出版されたので、宣伝しようと思います。
『ストーリーで学ぶWindows Server』は、Windows Serverの初級管理者向けに、Windows Serverのインストールから、Hyper-V仮想マシンの作成、Active Directoryドメインサービスの構築、ファイルサーバーの構成とバックアップを扱います。また、Microsoft 365を使ったメールサーバーの構成や、Azureを使ったファイルサーバーの冗長化について解説します。いまどきのITの基本システムと考えていいでしょう。
- Chapter 1 Windows ServerとHyper-Vの導入
- Chapter 2 Active Directoryドメインサービスの導入
- Chapter 3 Active Directoryドメインサービスの運用
- Chapter 4 ファイルサーバーの導入
- Chapter 5 ファイル共有の手順とロールベースのアクセス制御
- Chapter 6 パブリッククラウドの導入
- Chapter 7 Microsoft 365とAzure Active Directoryの導入
- Chapter 8 Azure File SyncとAzure Backupの導入
本書の特徴は、会話形式でストーリーが進むことです。ストーリー仕立てにすることで、「どのような状況でその機能が使われるのか」が明確になったはずです。また、今すぐ必要ではない機能の紹介は最小限にとどめ、実際に必要になったときに解説するようにしました。そのため「この内容が、何の役に立つのか分からない」という不満は減ると思います。
しかし、そのために1つの機能が複数の章に分散してしまうことになりました。辞書的に使うには向いておらず、ストーリーを楽しみながら学んでもらうことを想定しています。辞書的に使うなら、公式サイトを検索した方が早くて正確でしょう。
本書の企画段階で考えていたのは、竹内郁雄先生の『初めての人のためのLISP』でした。学生時代に笑い転げながら読んだのを覚えています。
しかし、担当編集者からは「これはちょっとやりすぎではないか」という意見をいただきました。増補改訂版が出ていたので、改めて読んでみると確かにやり過ぎでした(笑)。指摘されて、最初に読んだ頃「この本は、初学者には余談が多すぎて内容が頭に入ってこないし、上級者には既知の内容ばかりで、単に余談が面白いだけだ」と会話していたのを思い出しました(思い出すのが遅い)。
もう1つヒントになったのが、岩波新書の『現代数学対話』(遠山啓)で、こちらは実業家・哲学者・数学者の3名による対話で話が進みます。
そこで本書も、IT管理者と営業担当者に解説役を加えた3人で進めようと思いました。ITガバナンス的な要請と、営業担当者にとっての使いやすさが相反する状況を考えてのことです。でも、分量的に営業担当者が登場する余地はまったくありませんでした。何しろ、300ページを想定していたのに、出来上がりは600ページを超えてしまったくらいです。これ以上ページを増やすわけにはいきません。
聞き役のイトウアイコさんが、セキュリティについてやたら物わかりがいいのは、営業担当者が突っ込んでくる予定の部分を省略したためです。
ストーリーの進行は、ふだん私が講習会で話しているような内容をそのまま盛り込みました。私のクラスに参加した人は「ああ、そんな話していたな」と思い出すかもしれません。
技術チェックをお願いした、同僚の加藤由利子氏も「いつもしているような話の流れで、とても良かった」と言っていました。彼女も私も1993年頃からWindows Serverの研修を担当しており「お互い、30年近く経っても同じこと話してますね」と笑い合っていました。
執筆にあたっては、50人程度以下の組織を考えており「ひとり情シス」つまり「1人で情報システム部門の役割をこなしている状況」は想定していませんでした。しかし、実際にはその規模の企業の多くは「ひとり情シス」なんだそうで、サブタイトルに入れることになりました。
1人ですべてを行なうのはビジネス継続性からも問題があるので、せめて兼任IT管理者を何人か置いて欲しいものです。