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IT技術者教育に携わって25年が経ちました。その間、変わったことも、変わらなかったこともあります。ここでは、IT業界の現状や昔話やこれから起きそうなこと、エンジニアの仕事や生活について、なるべく「私」の視点で紹介していきます。

【IT雑学】サインイン/サインアウトとログオン(ログイン)/ログオフ(ログアウト)

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拙著『ストーリーで学ぶWindows Server』の「はじめに」が、日経BP社のWebサイトで公開されました。2022年5月の出版なので、少し間が空きましたが、これを機会に裏話みたいなものを紹介しようと思います。

【自著紹介】『ストーリーで学ぶWindows Server』」でも紹介したとおり、本書は私がふだん講義で話しているような余談を多く盛り込んでいます。実際に役に立つ知識ではなくても、技術の背景や裏話、さまざまなエピソードを紹介することで、印象に残り、知識が身に付きやすいと考えているからです。

もっとも、あまりに長い余談はかえって理解を妨げるので、何でも話せばいいというものではありません。『ストーリーで学ぶWindows Server』でも、記述を省略した部分が多々あります。

そこで、このブログでは省略したエピソードも含めて紹介していこうと思います。


Chapter 1では「サインイン」と「ログオン」または「ログイン」という言葉について紹介しています。「操作の開始」くらいの意味ですね。終了は「サインアウト」「ログオフ」「ログアウト」です。

ログオン/ログインはIT用語ですが、サインインは「(署名して)これから使う許可をもらう」という意味の英語です。たとえば、セキュリティの厳しいオフィスビルに入館する場合、入口で身分証明書を見せて署名(サイン)をする場合があります。これが「サインイン(sign in)」です。契約書に署名してチームに参加するのも「サインイン」です(こちらの使い方の方が多いかもしれません)。

一方、ログ(log)は業務日誌の意味で、「ログオン」や「ログイン」は「これから業務を始める」という意味になります。もともと、船の速度を測るため、紐の付いた丸太(log)を海中に投げ入れて、流れる速度を測定したことに由来するそうです。

丸太に付けた紐は、長さを測りやすいように等間隔で結び目(knot)がついていたそうです。船の速度は「ノット(knot)」なのは、この結び目に由来するとか。1ノットは1時間に1海里(nautical mileまたはseamile)で、1海里は1,852m。陸上の1マイル(約1600m)よりちょっと長いですね。

なお、ノットの話は書籍には書いていません。

log-and-knot.png

Unix系のOSではログイン/ログアウト、IBM系のOSではログオン/ログオフが使われていました。マイクロソフトはIBMと共同でOSを開発していた時期があったので、長い間ログオン/ログオフを使っていたのですが、Windows 8から(英語として)一般的な「サインイン」を使うようになっています。

ログインとログオン、ログアウトとログオフは同じ意味です。「厳密には意味が違う」としている解説もあるようですが、実際に同じ意味で使っていました。

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