オルタナティブ・ブログ > 仕事と生活と私――ITエンジニアの人生 >

IT技術者教育に携わって25年が経ちました。その間、変わったことも、変わらなかったこともあります。ここでは、IT業界の現状や昔話やこれから起きそうなこと、エンジニアの仕事や生活について、なるべく「私」の視点で紹介していきます。

【書籍紹介】『芸術ロック宣言』さいあくななちゃん

»

いつの時代にも才能のある若者はいるのだが、いつの時代もなかなか認められないものである。若い芸術家の「さいあくななちゃん」もその一人だ。

私は、2013年に専門学校の卒業展示を偶然見てから、ほとんどの展示を見ているのだが、正直言って1年くらいはほとんど人が来ていなかった。しかし、2年目くらいから徐々に広が増えてきた。それとともに絵の価格も上がり、今ではそう簡単に買える値段ではなくなった。大変良いことである。

昨年(2018年)は第21回岡本太郎現代芸術賞(通称TARO賞)で大賞となる岡本太郎賞を受賞し、さらに注目度が上がっている(美術手帖「第21回TARO賞は、さいあくななちゃんに決定。敏子賞は弓指寛治」)。万人受けするタイプではないが、見る人に強烈な印象を与え、響く人には響くはずである。個展には、彼女のTシャツを着た男女が何人も来場している反面、美術誌のライターからは「こんなものは芸術じゃない」的な中傷がTweetされるなど、賛否両極端の作風である。芸術が「人の心を動かすもの」だとしたら、さいあくななちゃんの作品は本物の「芸術」である。

考えてみれば、岡本太郎も結局誰にも理解されていなかったのではないだろうか。私も決して理解してはいない。「太陽の塔」ができた頃は小学生だったので、どんな議論があったのかは分からない。その後、キリンシーグラムの景品グラス(グラスの底が顔になっている)のデザインをするとともにCMに出たり、バラエティ番組で妙なおじさんを演じたりしていたのは知っているが、なぜあんなキャラクターを演じたのかも分からない。ただ、「太陽の塔」も「グラスの底の顔」も、強い印象を受けたことは覚えている。

さいあくななちゃんは、自分の作品について語らない。「コンセプトはなんですか」と聞かれて「別にないです」と言い切る。しかし、見た人に強烈な印象を与えることに違いはない。一部の人には大変不快な感じを与えるようだが、それもまた「芸術」である。

芸術ロック宣言』は、そんな彼女の画集&エッセイである。多くの場合、さいあくななちゃんの展示は空間全体を使ったインスタレーションで、個々の絵をすべて覚えるのは難しい。できれば個展を見て欲しいが、書籍だけでもいくらかの雰囲気は伝わるだろう。

また、岡本太郎記念館(東京・青山)では、6月5日(水)~23日(日)まで「生きる」と題した巨大な作品が公開制作されている(制作は19日まで、その後は展示のみ)。実際に見て来たが、巨大なキャンバスを前に、時々身体をゆすりながら黙々と作品に取り組んでいた。巨大すぎて設置にも苦労したそうだ。

DSC04609L

DSC04608L

DSC04629L

6月15日(土)~7月11日(木)は岡本太郎記念館からも近い「オン・サンデーズ」で個展も企画されている(美術手帖「さいあくななちゃん:芸術ロック公演」)。展示の詳細は分からないが、「公演」と題して、音楽要素も取り入れているようで、期待している。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する