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IT技術者教育に携わって25年が経ちました。その間、変わったことも、変わらなかったこともあります。ここでは、IT業界の現状や昔話やこれから起きそうなこと、エンジニアの仕事や生活について、なるべく「私」の視点で紹介していきます。

ヤンキーとオタクは昔話が好き

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ヤンキーとオタク。相反する2つの集団には実は共有点が多い。今回はあまり役に立たない話として、ヤンキーとオタクの共有点について考える。

 

■ヤンキーとIT

以前、月刊Windows Server World誌に「ヤンキーとIT業界人は昔話が好き」というコラムを書いた(リンク先はその再掲版である)。ヤンキーとIT業界は時間の流れが速い。これが昔話を好む理由だと私は分析した。

通常、世代交代には数年かかるものだが、ヤンキーの方々は1歳違うと世代が変わるらしい。一方、IT業界は「ドッグイヤー」と呼ばれ7倍の速度で進むという(7倍という数字が的を射ているかどうかは別の話である)。つまり「ヤンキーの1年とIT業界の1年は、どちらも一般人の数年に相当する」と考えられる。「18歳のヤンキーに説教する21歳」と考えるとおかしいが、39歳が18歳に説教するのなら不思議ではない。21歳の若者が「オレも若い頃はなあ」と後輩に説教しているのはおかしいが、よく聞く話である。

最近は、年長者の発言に対して「上から目線」と批判する人も多いが、年長者が上から目線でしゃべるのは当然である。1歳上のヤンキーは上から目線で話をする。

 

■ヤンキーとオタク

ただし、IT業界の人全員がドッグイヤーで動いているわけではない。そこで出会ったのが岡田斗司夫の言葉である。

ヤンキーとオタクは、日本の文化のオリジナルで(オリジナル度合いが)一番高いもの
(岡田斗司夫「FREE」インタビュー(週刊ダイヤモンド)その13より)

そういえば、昔話を積極的にするのは私と同年代よりも下、つまり「オタク」世代よりも下に限られる。私など、ほとんど毎日昔話をしているような気もする。このブログだって昔話が半分以上を占めているのではないか。でも、元エンジニアだったかつての上司は昔話をほとんどしなかった。今よりもずっと多くの苦労をしているはずなのに、である。

つまり、正確には「ヤンキーとIT業界人」ではなく、「ヤンキーとオタク」は昔話が好きなのである。

ヤンキーとオタクは、日本が生んだ二大文化でありながら、ほとんど接点がなかった。たまに出会うとオタクはヤンキーにいじめられっぱなしである。しかし、考えてみれば共通点も多い。

第1に昔話が好きなこと。とりわけ「武勇伝」の類は大好きだ。オタクにもさまざまな武勇伝を語る人は多い。私も若い頃に(オタク的な)無茶をしたことがある。ぜひ披露したいのだが、(控訴時効を過ぎているとは言え)違法行為なので公開は躊躇している。

第2にファッションが奇抜なこと。オタクはファッションに無頓着、ヤンキーは一般人と方向性が違うという差はあるが、結果は似たようなものである。いずれにしても社会に適合していない。

第3に思い込みが激しいこと。ヤンキーの「○○命」と、オタクの「○○萌え」は同義である。最近のオタク界では「○○は俺の嫁」というフレーズが流行っているようだが、これも同義である。

第4に異性に関して純情なこと。ヤンキーは早婚、オタクは晩婚ないし非婚の傾向が強いが、異性に対する態度は意外に似ている。ヤンキーは行動力があるので、それなりに恋愛経験が豊富で、すぐ子供ができ、そして結婚する(順番はこれが一般的)。しかしTV番組「新婚さんいらっしゃい」を見る限り、彼/彼女らは非常に純情である。一方、オタクは自分の趣味以外に対して積極的に行動しない反面、機会があればすぐに結婚する。私の友人で最初に結婚したのは、最もオタク度の高い奴だった。最初に報告を聞いた友人は「相手は本当に3次元か?」と聞いたくらいである(立派な3次元だったが、オタク仲間だった)。

以上、わずかな例を一般化してみた(強引な一般化もヤンキーとオタクの共通点だ)。

 

■ヤンキーとオタクの融合

このように、両極端に見えるヤンキーとオタクには実は共通点が多い。両者はいずれも日本固有ではないかもしれないが、日本で発生し、日本で発展した文化である。両者を組み合わせれば、サムライでもゲイシャでもない、日本独自の現代文化を基にした高い国際競争力を持つ組織ができるはず… かな?

SONY DSC

▲オタクといえばコミックマーケット(通称コミケ)
8月14日(日)「まぐにゃむフォト」として 猫写真集を販売予定
(東京ビッグサイト「西う22b」)

 

■おまけ: アイドルファンの場合

最近は、アイドルファンのことも「オタク」と呼ぶらしいが、少々違和感がある。映画「七人のおたく」には「アイドルおたく」が登場するが、彼は会報を発行し、テレビCMをチェックし、ライブ会場のワイヤレスマイクから漏れる電波を盗聴する(昔は割と簡単にできたらしい)。行動力はあるものの、基本的にはインドア派であり、ライブ会場の最前線で応援する現在の「おたく」とは少し印象が違う。


▲アイドルおたくの例(アイドルはまなみのりさ)

 

※本稿は、 2011年01月16日にWeb媒体「Computer World」に掲載したものに加筆したものです。

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