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IT技術者教育に携わって25年が経ちました。その間、変わったことも、変わらなかったこともあります。ここでは、IT業界の現状や昔話やこれから起きそうなこと、エンジニアの仕事や生活について、なるべく「私」の視点で紹介していきます。

「仮想」の意味~マシンがなければクラウドを使えばいいじゃない~

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引き続き、自著のお話。

ひと目でわかるAzure 基本から学ぶサーバー&ネットワーク構築」では、Microsoft Azureを使った仮想マシン(Virtual Machine)と仮想ネットワーク(Virtual Network)について解説している。

「Virtual」は「仮想」と訳されるが、実は英語のニュアンスは少し違い「事実上の」あるいは「あたかもそこにあると考えて構わない」という意味が強い。辞書を引くと「virtual president」(公式な役職ではないが事実上の社長)や、「virtual promise」(正式な文書はないが、実質的に有効な約束)などが載っている。「virtual marriage」は別に二次元のヨメがいるわけではなく事実婚の意味になる。

「virtual server」は、「あたかもそこにあると考えて考えて構わないサーバー」である。クラウドサービスのうち、IaaS(Infrastructure as a Service)を使えば、簡単な操作で「事実上のサーバーマシン」を構成できる。

そこで、編集担当の方にこんなコピーを付けていただいた。

マシンがなければクラウドを使えばいいじゃない

Microsoft Azureの公式キャラクター「クラウディア窓辺」の画像使用許可が得られたことで、クラウディア窓辺の性格設定に基づいた言葉である。

同じような性格を持つ涼宮(すずみや)ハルヒ(「涼宮ハルヒの憂鬱」から始まるライトノベルシリーズの主人公)の言葉から取ったのかと思ったら、さらに元ネタのマリー・アントワネットなんだそうだ。

ちなみにマリー・アントワネットの発言とされる有名な言葉

パンがなければお菓子を食べればいいじゃない

は、王室を悪者にしたい人たちのねつ造らしい。

実際の言葉には諸説ある。研究者の間で最も信憑性が高いとされているのは、完全なねつ造説である。私が面白いと思ったのは「お菓子」の解釈の違いだ。「パンがなければ」のパンは「ブリオッシュ」である。現在、ブリオッシュはバターと卵を使ったお菓子に分類されることが多いようだが、当時のブリオッシュは粗悪な小麦粉を使っており、パンよりも単価が安かったから、民衆のことを思い遣った提案だったという説だ。

そして、「パンがなければ」の言葉をモチーフにしていると思われる涼宮ハルヒの発言はこうだ。

(私の気に入ったクラブが)無いんだったら自分で作ればいいのよ

こうして涼宮ハルヒは、公式のクラブ活動組織ではないが、事実上の「クラブ」として「SOS団」を結成する。つまり、「自分に適切なサービスを提供してくれる場がないなら、バーチャルなサービス提供者(サーバー)を作れば良い」ということで、結果的にマリー・アントワネットの発言よりも、IaaSのコピーにふさわしい言葉となっている。

ちなみに「涼宮ハルヒの憂鬱」は、SF小説としてもなかなかよくできていて、面白かった。筒井康隆もほめていたらしい。筒井康隆がライトノベル「ビアンカ・オーバースタディ」を著したのも「涼宮ハルヒの憂鬱」の影響だという説もある。実際「ビアンカ・オーバースタディ」の挿絵は「涼宮ハルヒの憂鬱」と同じいとうのいぢである。

ところで若い人は筒井康隆を知らないらしいが、星新一、小松左京と並んで、日本SF3大巨匠の1人である(星新一も知らない人が増えたので、説明にもならないのだが)。

DSC00467S - コピー
▲クラウディア窓辺の衣装は、マイクロソフトから無償で借りることができる。非営利利用であれば二次創作作品の公開許可は不要である。
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