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IT技術者教育に携わって25年が経ちました。その間、変わったことも、変わらなかったこともあります。ここでは、IT業界の現状や昔話やこれから起きそうなこと、エンジニアの仕事や生活について、なるべく「私」の視点で紹介していきます。

クラウド時代の飲み会は手酌

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米国国立標準技術研究所(NIST)の「NISTによるクラウドコンピューティングの定義」よると、「クラウドコンピューティングの特徴」は以下の通りである(訳は独立行政法人情報処理推進機構)。

  • オンデマンド・セルフサービス(On-demand self-service)...ユーザは、各サービスの提供者と直接やりとりすることなく、必要に応じ、自動的に、サーバーの稼働時間やネットワークストレージのようなコンピューティング能力を一方的に設定できる。
  • 幅広いネットワークアクセス(Broad network access)...コンピューティング能力は、ネットワークを通じて利用可能で、標準的な仕組みで接続可能であり、そのことにより、様々なシンおよびシッククライアントプラットフォーム(例えばモバイルフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、ワークステーション)からの利用を可能とする。
  • リソースの共用(Resource pooling)...サービスの提供者のコンピューティングリソースは集積され、複数のユーザにマルチテナントモデルを利用して提供される。様々な物理的・仮想的リソースは、ユーザの需要に応じてダイナミックに割り当てられたり再割り当てされたりする。物理的な所在場所に制約されないという考え方で、ユーザは一般的に、提供されるリソースの正確な所在地を知ったりコントロールしたりできないが、場合によってはより抽象的なレベル(例:国、州、データセンタ)で特定可能である。リソースの例としては、ストレージ、処理能力、メモリ、およびネットワーク帯域が挙げられる。
  • スピーディな拡張性(Rapid elasticity)...コンピューティング能力は、伸縮自在に、場合によっては自動で割当ておよび提供が可能で、需要に応じて即座にスケールアウト/スケールインできる。ユーザにとっては、多くの場合、割当てのために利用可能な能力は無尽蔵で、いつでもどんな量でも調達可能のように見える。
  • サービスが計測可能であること(Measured service)...クラウドシステムは、計測能力(通常、従量課金(pay-per-use)または従量請求(charge-per-use)ベースで計算される)を利用して、サービスの種類(ストレージ、処理能力、帯域、実利用中のユーザアカウント数)に適した管理レベルでリソースの利用をコントロールし最適化する。リソースの利用状況はモニタされ、コントロールされ、報告される。それにより、サービスの利用結果がユーザにもサービス提供者にも明示できる。

私の最近の持ちネタは、飲み会でビールを注ごうとした人に言うこんな台詞だ。

いやいや、ここは手酌で。クラウドの基本はセルフサービスですから。

そういえば、Twitterでこんな言葉が流れてきた。元発言が追えなかったので、うろ覚えだが「定額で使い放題、それが正社員」という感じだった。しかし、定額はクラウド的ではない。もし、社員がクラウドの特徴を備えたらどうなるだろう。

  • オンデマンド・セルフサービス...利用者は、雇用元と直接やりとりすることなく、必要に応じ、社員をいくらでも働かせることができる。
  • 幅広いネットワークアクセス...ネットワークを通じて利用可能で、メール1本で社員を呼び出せる。
  • リソースの共用(Resource pooling)...社員は、需要に応じて一方的に仕事が割り当てられたり取り上げられたりする。
  • スピーディな拡張性(Rapid elasticity)...働ける社員は無尽蔵で、いつでもどんな量でも調達可能。
  • サービスが計測可能であること(Measured service)...社員の労働状況はモニタされ、コントロールされ、報告される。給与は働いた量で決まる。

あんまりいい環境ではなさそうだし、そもそも労働法に違反している。こういう仕事はやはりコンピュータに任せてしまおう。

それにしても、クラウドの導入は確実にIT関係者を楽にするが、その結果はどうなるのだろう。

労働時間が短くなって、給与が同じというのが理想的であるが、あまりなさそうだ。

別の仕事が入ってきて、労働時間は変わらず、給与も同じというのが一番ありそうな話だ。昔の写真家は、カラー写真の現像は現像所(ラボ)に任せていたが、現在は色調整や明るさの調整を写真家自身が行う(おかげで休憩時間がない)。

最悪のシナリオは、仕事がなくなって失業することだ。あり得ない話ではない。たとえば、コンピュータができる前にあった「計算係」という仕事(昔はこの人たちを「コンピューター」と呼んだらしい)。日本最初の商用コンピューターは、富士写真フイルム(現在の富士フイルム)が自社開発したFUJICである。これは、レンズ設計に使われ人間の1,000倍から2,000倍の仕事をこなした。労働争議が起きたという記録は残っていないが、どこかの段階で仕事はなくなっているはずである。

 

コミックマーケットに出展します

日本の、いや世界のオタクたちにとって、お盆と年末はコミックマーケット(通称コミケあるいはコミケット)の季節である。コミケは、さまざまなジャンルの同人誌即売会で、世界最大規模のユーザー参加型イベントだ。

8月15日(金)~8月17日(日)に開催される「コミックマーケット86」コミケの出展者は3日間合計で3,4932サークルが予定されている。入場者数は前回実績から考えて、1日あたり18万人(3日間で50万人強)になるだろう。

これだけの規模になると、下調べなしに目当てのサークルを探すのは不可能である。そこで、毎回カタログ冊子が発行されていたが、ページ数が増えたため、DVDでの提供が始まった。しかし、DVDは検索性は良いものの、PCが必要なので、移動中に見るのが難しい。そのため、2012年からWebベースのカタログを用意することになった。

この規模のイベントを支えるインフラを用意するのは相当な初期コストがかかる。しかも、コミケ期間中以外は、アクセス数が激減するはずだ。そこで、システムはクラウド上に構築することが決まった。さまざまな検討の結果、最終的に、マイクロソフトが提供するWindows Azure (現在のMicrosoft Azure)が採用され、安定稼働している。

運用の詳細は明らかにされていないが、おそらく6月のサークルの当落発表日(申込数約5万で、当選数が約3万)直前にサーバーを増やし、その後いったん減らしてから、8月からコミケ終了までサーバーを増やしていき、コミケ終了後にまた減らしていくことになるのだろう。

そして、私が趣味で撮っている写真のサークル「まぐにゃむフォト」が、今年もコミックマーケット(通称コミケあるいはコミケット)に出展する。夏はいつも抽選漏れだったので、夏の参加は初めての経験である。

東京国際展示場(ビッグサイト)8/16(土)東地区"モ"57aで、友人の「ねこやま猫道」と一緒に写真集を販売するので、よかったら見に来て欲しい。入場無料、午後には混雑も緩和されるはずだ。

「まぐにゃむフォト」の頒布物は以下の通り。

  • COPYCAT(写真集)
  • COPYCAT 2(写真集)
  • クラウディア窓辺と猫とタブレット(写真集)
  • ポストカード(予定)

「クラウディア窓辺と猫とタブレット」は、前回全く売れなかった。猫といっても、モデルさんの比率が大きいので猫目当てに来た人は買ってくれなかったということもあるだろうが、それにしても売れなかったので、今回はもう少し売りたい。

スライド4S
▲モデルは「しの」さん、タブレットはSurface RT(初代)

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