学生の間はとにかく悪者扱いされる『コピペ』ですが社会に出たらスキルのひとつです
コピペがコピペされた件がニュースになっています。
高校生エッセイコンテスト受賞作、2chの有名コピペにそっくり - ITmedia News http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1012/03/news078.html
学生さんの間はコピペを提出することが問題視されますね。一方で社会人にとってコピペは欠かせないスキルのひとつであるように思います。
今はPCがありますし検索エンジンもありますので誰でも簡単にコピペを行うことができます。では20年ほど前の自分の子ども時代にコピペがなかったかというとそんなことはありませんでした。読書感想文では図書館であとがきのある本を借りてきて書いたり、はたまた他の小学校の図書館解放やらお兄さんお姉さんの文集を借りたりという大技もありました。そういった時代には先生方もコピペの警戒度が低く、野放しになっていたように思います。もちろん全部人力でやるので労力はかかっていますが、丸写しをして頭を使わないことはいけないことだという認識でした。
さてこれから就職活動の時期ですが、志望動機やら大学時代の経験等の「自分サイド」の質問についてはベースとなるものを作って微妙にカスタムして使い回している人が多いのではないかと思います。それは自分で作ったものの使い回しであっていわゆる「コピペ」ともまた切り分けられるものと思います。その一方で、入社後の目標など「会社サイド」について答えさせる質問があります。皆さんどのように取り組んでいるのでしょうか?
普通にやろうと思うとその会社について情報を集めることからスタートします。そして自分ができそうなこと、おもしろいと思ったこと等を中心に組み立てた結果、その会社のサイトのコピペのようになってしまうこともあるようです。
そうなると読む側はどう感じるでしょうか?
何人ものエントリーシートを見ていると「必ず出るフレーズ」というのが脳内に蓄積されますので「グローバルな物流網と最新の製造設備を持つ」ですとか「マザーマシン製造で国内トップを目指す」ですとか「お客様の真のITパートナーを目指す」といった言い回しがインプットされてきます。すると、
- オリジナルな人
- 自分の志望動機から自然に文脈をつなげてくる等の上手な人
- ただ単に企業サイトの文章を置換したり順番を変えたりしただけの継ぎ接ぎな人
にカテゴライズができるかと思います。3の下手な人は置いておいて、1と2ではどちらのほうが評価されるのでしょうか。なんとなくオリジナルなことを書いてくれる人はその頑張りを認めてあげたい気持ちになりますが、社会に出てからのことを考えると2も大切なスキルを備えていて良いことじゃないか、という気持ちになります。
学生さんは自分で作ったエントリシートを読み返して「これじゃいかにも企業サイトからコピペして作りましたって感じだな」と思った場合には失礼を感じ丁寧に書きなおして作り直すこともあるでしょう。
ところが会社に入ったら「いかにもコピペ」が大切な局面もあります。例えばお客様からのRFP/RFIで「これはやってね」と要求しているような項目は、できるだけ元の言葉を活かして提案書に盛り込むことがあります。
お客様がRFP/RFIを評価する方法のひとつとして、いくつか出した要求について提案者がどれくらいずつやってくれそうかを点数付けをして合計するというやり方がありあます。要求に対する提案が簡単に見て取れれば評価を楽に進めることができます。しかしそれと反対に提案側が自分たちのよく使う言葉(そしてその会社以外であまり使われていない言葉)に置き換えて答えてあったりすると、評価するほうが頭を悩ませることになります。
この会社は自分たちのやりたいようにやるだけでこっち(お客様側)に合わせてくれるつもりなんてないんじゃないだろうか、なんて思うかもしれません。もちろんコピペばかりでは「言うだけの仕事しかやらない」ような頼りない感じがしたり、まるで乗り気じゃないように見えたりしますのでバランスは必要です。
エントリーシートを評価する人が採用ばかりやっている人だったらフレーズをコピペしてくることを快く思わないのかもしれません。しかし現場の仕事をする人が採用応援をすると「おお、こいつコピペスキル高いなぁ」なんて好印象に思うかもしれません。また、「自分だって毎日のようにコピペしてるのに『コピペ』のエントリーシートに低評価を下していいものだろうか」なんて迷ってしまうかもしれません。
もし自分だったら的確に抜いてこられる人には◎をあげたくなります。