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次の内閣はもう一度「人間のための経済」というビジョンを

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鳩山さんお疲れ様でした。

過去何名かの総理はそれぞれにビジョンがありました。

小泉さんは「日本を壊す」のとおりに郵政改革など既存の制度で凝り固まっていたところを破壊しました。

安倍さんは「美しい国」のとおりにテロなど安全に関する体制を内外で強化しました。

福田さんは「安心実現」のとおりに地味ながらも長年放置されていたC型肝炎問題や消費者庁の設立など国民に近い部分での制度充実を図りました。

麻生さんは「安心と活力ある社会」のとおりに国内ではエコポイントや定額給付金などによる景気の刺激を行い、また海外ではIMFを通じてリーマンショックからの立ち直りを支援しました。

そして。

鳩山さんは「人間のための経済」をビジョンに掲げました。私はとてもすばらしいビジョンであると思います。それを支えるのは「政治の強力なリーダーシップ」とされました。不況からの立ち直りの時期にある今、市場経済の自律性に任せてはうまくいかない部分を政治で導くというのはもっともなことと思います。それは「『需要』からの成長」によって進めます。環境と健康(加えて「観光」が並列になっているのがいまだに腑に落ちませんが)で市場を刺激して100兆円の需要を生むというものです。100兆円をばらまくのではなく、国民が100兆円を使いたいと思い、しかも浪費的、享楽的にではなく環境と健康の向上に使われる。すばらしいです。

『新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~」のイメージ』 http://www.meti.go.jp/topic/data/growth_strategy/pdf/091230_2.pdf

しかし先の総理たちと異なり、それが実現・実感され始めることなくバトンが渡されることとなりました。

政治家の仕事には2つあると思っています。1つにはリーマンショックや災害の処理などの受身の仕事、もう1つは何か新しいことを始める仕事であると思います。

先の総理たちは受身の仕事で非常にヘビーな事態に対処しつつも、自分たちのビジョンの実現に向かって何らかのことをしてきました。中にはテロ対策のように、防犯を強化する引き換えに国民の生活に制限を加えざるを得ないという難しい問題を進めた実績もありました。

一方で鳩山さんとしてはカネの問題など自分から招いたこと以外にミサイルやリーマンショックなどの重大事件がなかったにも関わらず、新しいことにあまり手がつけられないままに終わりを迎えてしまったように思います。私がすぐに思い出せることでビジョンに沿ったことと言えばB型肝炎訴訟が和解に向けて閣僚間で合意をしたことくらいです。B型肝炎に由来する肝硬変患者は10万人弱といわれますので、非常に大きな意義のあることであると思います。(C型肝炎を参考にすると和解金は控えめに見積もって数兆円)

新内閣への引継ぎがすんなりと進んだとして、予定通りであれば今月2010年6月中には成長戦略実行計画が固まります。今年中にやること、4年くらいでやること、10年後までにやること、と短期、中期、長期の計画があるそうなのですが、短期計画すら完成を見ずして辞任ということになってしまいました。次の内閣が妙なリフレッシュ感を求めてビジョンの上書きを行うようなことがあると、一部では動き始めている戦略がわけのわからない感じになって大きな混乱を生むのではないかと思います。

そして我々有権者も今回の辞任から学ばねばなりません。鳩山さんは鳩カフェやtwitterによる情報発信に加え記者クラブの開放を進めるなどインターネットとの接点を増やしました。これにより国会での居眠りや過去の発言からのブレなど、政治家にとって不都合な事実が迅速にかつ反論不能な形でつきつけられるようになりました。もっと強力に有権者の存在を感じさせたいものです。

マスコミによる報道も、一部ではネット発の情報をなぞるような形が見られたように思いますし、本日の辞任発表がtwitterのTLでどう受け止められたか、ということが新聞社のwebサイトでも報じられました。鳩山さんのなりすましtwitterアカウントや口蹄疫関連のデマの問題もありました。こうした教訓を乗り越えつつ、有権者と政治家の良い関係を模索したいものです。

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