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パイロット誘起振動とWebサイトの輻輳

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飛行機が何らかの原因で振動した際に、それがパイロットの肉体を揺らして操縦桿を揺らすために余計に揺れるという現象をパイロット誘起振動(PIO)と言うそうです。なお、パイロットが誘起する=パイロットがミスをするという見方につながりやすいため、PIO=Pilot Induced Oscillation(パイロットが引き起こした振動現象)という言葉は、Pilot Involved Oscillation(パイロットが巻き込まれた振動現象)という言葉が使われるそうです。

私は飛行機の操縦をしたことはありませんが、自動二輪の免許を持っていますので多少その状態が理解出きる気がします。オートバイに乗る方は皆さんご存知と思いますが、ブレーキをするときにライダーは体重を後ろに移動させます。それをしないことにはブレーキの影響で体が前につんのめり、余計に前タイヤに荷重がかかってしまって危ないからです。強いブレーキをかけた場合、車体そのものも前のめりになる上に人間自身も前のめりになって前倒しやすいですし、思い切りアクセルを開けるとウイリーしやすくなりますが、それに近い現象ではないかと思います。

同様に、電車のブレーキは手前に引くのではなく押すものが多いそうです。これは、万一踏切などで衝突事故が発生した際に「アクセルは押す、ブレーキは引く」という設定だと運転士が衝撃で前に倒れこむことでアクセルを開けてしまうからだそうです。

飛行機もバイクも電車も、機械としてはどのような設定でも正しく動くはずなのですが、人間の影響で思わぬ動きを見せるというのは興味深く、また注意すべき性質であると言えます。

上に挙げた例は肉体の面が機械に思わぬ影響を及ぼす話ですが、精神面では錯覚により思わぬ操作をしてしまうということがあります。例えば急な下り坂が続いた後になだらかな下り坂が現れることでそれを上り坂と勘違いしてしまう「おばけ坂」があります。空き缶が坂道を登っていくように見えて「わあすごい」と言っているうちはいいのですが、実際に自動車の衝突事故などが多発するようですとこれは深刻な問題です。

また、特に高回転型のエンジンを積んだバイクなどでレブリミッターが動作した際、それを「レブリミッターが動いたな」と認識できればアクセルを絞るのですが、「なんかスピードがゆっくりになったな」とだけ感じると更にアクセルを開けてしまうということがあります。

レブリミッターとはエンジンが壊れるほど高回転にならないよう、その手前で安全装置を働かせるものです。人間が安全装置の動作を認識できれば「おっといけない」と思って対処ができますが、「あれ、なんかスピードが落ちたな(伸びないな)」とだけ思うと正しい対応が取れません。バイクならばエンジンも近いのでレブリミッターが動いたときの音や振動を感じることができますが、飛行機ですと機体に関するほぼすべての情報を計器に頼ることになりますし、静粛性の高い自動車や、電子化の進んだ自動車においては何が起きているか把握できないということになります。

飛行機では機種ごとに免許が出るそうですが、自動車は車種で取ればオールマイティの仕組みになっています。免許の更新の際に、たとえばオートマ車のクリーブ現象やABSなどの注意を受けることはありますが、様々な車が持つ特性についてはディーラーから聞くしかないかな、というように感じます。ちなみに私が免許を取って一番最初に乗った自動車はセリカ(ST18)だったのですが、消防車でもないのに4WSを採用していたため、車庫入れの感覚が非常につかみにくいものでした。

ものすごく前置きが長くなりましたが、人が機械に干渉すると思わぬ動作を引き起こすことがあります。Webサイトの応答が若干悪くなったとき、いらいらしてリロードボタンを何度も押す人がいると余計に付加が高くなって応答がなかなか改善しません。年末年始のメール、災害時の電話なども同じことが言えるかと思います。

トヨタ自動車の品質問題では、機械に問題が見つからず「人間系」が入り込んだ問題が見つかるかもしれません。この件を通し人と機械との関わり方について何か新しい知見が得られたとしたら、それは情報システムにおいても非常に貴重な教訓になるように思い、注目しておる次第です。

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