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日本オラクルの本がおもしろかった

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『躍進日本オラクル-全社最適化戦略』という本を読みました。

躍進日本オラクル-全社最適化戦略

OracleOpenWorld Tokyo 2009の入り口で販売されいたのを覚えている方もおられるかと思いますが、日本オラクルを取り上げた本です。Sun買収のニュースが流れるのと時を同じくして発売されるという強運をうらやましく思いました。

内容は米オラクル社と日本オラクル社のこれまでとこれから、というところでしょうか。これまでオラクル社は現場の業務を最適化するようなアプリケーションやミドルウェアすなわちDBであったりERPであったりというところを中心に買収を進めてきたわけですが、今後は経営者を支援するためのアプリケーションを伸ばしていくであろう、というようなことが書かれています。

その中でも自分がおもしろいと思ったところは日本オラクル社を媒介として日本のIT企業の歴史を知ることができる点です。

IBM、SAP、DEC、ユニシス(ユニバック)など世界の大手のOBが日本オラクル社を支えていることや、アシスト、S&I、新日鉄ソリューションズなどのおなじみの国内系の企業の名前もでてきます。つい最近にはVirtual Iron社を買収したことがニュースになっていましたが、過去に同じようにして買収された50社超の企業の名前も出てきます。ピープル、シーベル、BEA、ハイペリオン、JDエドワーズ、などなど。

システムの話はあまり出てこず、ある程度は経営系に詳しい人でないと内容が難しいように思いますが、昔を知らない若い世代にとっては一昔前の(といったら登場人物の方に怒られるかもしれませんが)日本のIT業界がどういう感じだったのかを知るきっかけとしてとても良いんではないでしょうか。

オルタナティブブログのメンバーで集まった際に加藤さん谷川さんから昔の(といったら怒られるか)話を聞かせていただくことがあります。あの会社はやけにオラクルの研修コースが充実していると思ったら社長がアシスト→日本オラクルのOBだったのかー、とか。あの会社がオラクル製品に強いのは過去にいろんな経緯があるのかー。というようなことを知っていると知らずとでは別に全然かわらないのですが、知っていると少し得した気分になりますね。それが自分の会社の系譜に絡んでくる内容だった場合には一層おもしろく思います。

日本の電気系でない純然たるIT企業で歴史本が書けるほど長く繁栄しているところはそう多くありません。書籍やネットでそれら企業の歴史を知る機会がないのは残念です。特に金融系SIerは企業合併とともに離散集合してきた歴史があるので戦国小説のごとくダイナミックな歴史を知ることができそうです。定年退職した方が回顧録などを書いてくれないかなぁ。

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