オルタナティブ・ブログ > 一般システムエンジニアの刻苦勉励 >

身の周りのおもしろおかしい事を探す日々。ITを中心に。

バーナム鋼管製作所

»

ある企業から入手した社内意識調査の結果です。
これらは256名の社員に無記名アンケートを配布し、
うち87%にあたる社員から回答を得て作成したものです。

〓 〓 〓 〓 〓 〓 〓 〓 〓

スキル評価

当社の多くの社員は、社内で評価されたい、社外からも一目置かれたいと思っています。
一方で、まだまだ自分はもっとやれる、力を秘めている、と考える傾向も見られます。
そのため、自己の弱点を見つめ、克服するための努力を惜しみません。
ただし、部署によっては社員のスキルを活用し切れていない業務が存在すると思われます。

業務プロセス

業務監査では社内ルールに従って遂行しているとの結果が出たビジネスプロセスにも、
社員の目からすれば合理性・効率性に欠けると判断されがちなものが少なくありません。
そのような場合、社員は自分の判断の正当性についての疑問を感じます。
上司らがその疑問の処理に失敗することはしばしばストレスの元凶となります。

意思決定

ほとんどの社員は、自分の仕事の環境が変化することや、多様な業務を扱うことに喜びを覚えます。
反対にルールを強化されることや、一方的な数値ノルマによる管理はモチベーションを下げる要因となります。
社員が自律して行動することは好ましいことであり、トップダウンに命令を押しつけることは好まれません。

コミュニケーション

私生活面では、会社に生活を捧げる事に喜びを感じることは多くありません。
宴会などの非公式なコミュニケーションの場でも楽しく振舞っていますが、
実情は深入りしすぎないように予防線を張っているものと思われます。

総括

これらのすべてを実現することが難しいことを知っているため、
その場その場に応じて動的に自分の中での優先順位を変更して行動しています。

〓 〓 〓 〓 〓 〓 〓 〓 〓

いかがだったでしょうか。

「あー、うちの会社にもあてはまるわー」

と思った方がおられましたら、私も幸せです。
タイトルを読んでいきなりオチがわかったかたがかなり大勢いらっしゃると思われます。
こちらはバーナム効果と呼ばれる心理学の現象です。

「なんとなく誰にでも該当するようなことを言っている文章」

を作って他人に読ませると、多くの人が共感を覚えるというものです。
これは私が「フォアの実験」で用いられたという文章から
適当に作成したニセのアンケート結果です。いかがでしたでしょうか?
このような「カンパニーコミュニケーションコンサルティングレポート」 というような
調査報告に300万円くらい払ってしまったという方はおられませんでしょうか?

※ バーナム鋼管製作所というのは「ばーなむこうか」をもじって私が考えたタイトルです。
バーナム株式会社という会社が実在しますが、関係は一切ございません。

このような文章術は占いや心霊鑑定などの世界でも良く用いられます。
「あなたは西洋の騎士の生まれ変わりです」とか何とか言ってれば
そのような気持ちになるというのが人の性です。

これと一緒にホット・リーディングと呼ばれる手口を活用し、
鑑定相手の情報をその人自身に知られないように事前に仕入れておくことで
「あなた、さては小さい頃に名古屋に住んでいましたね」
等と言うことでドキッとさせて本物の超能力者であるように振舞うことができます。

事前に相手の過去を探ることができない場合は、
コールド・リーディングという手口を活用し、
「あなた、小さいころ何か生き物を飼っていて死なせてしまいましたね」
というおよそ日本人ならほとんどの人が「YES」と回答するような
質問をきっかけにして情報を聞き出すということが行われます。
そこから「わかります。伝わってきますから。大変悲しかったでしょう」
とか何とかいって慰めてあげれば「同じ時期に祖父が入院したのですが」
などという嬉しい情報をぽろっと漏らしてくれるに違いありません。

 さてこれらは個人相手にはよくやられる手でありますが、
法人相手となるとどうでしょうか?

ひとまず直前に言及しましたコールド・リーディングというのは
営業さんやコンサルタントさんにとっては必殺技というよりは
前提条件のようなものです。傾聴スキルという言葉の表す意味の通り、
お客様の悩みに真摯に耳を傾けることができなくては
本当に解決すべき問題に至る事は難しいと思われます。

その次にホット・リーディングというのも同じく当然の行動です。
これから訪問するお客様の情報は、手に入れられるものであれば
手に入れておいて当然のことだと思います。

ITmediaの記者である岡田有花さんは最近、「ネットで人生、変わりましたか?」
という本を出されました。(買ってませんが)
岡田女史はおもしろいインタビュー記事を書くために、可能な限りインタビュー相手の
情報を仕入れてからインタビューに挑まれるそうです。
岡田有花さんに学んだインタビュー術(idea*idea)

他の雑誌でも良く聞かれるような内容を何度も聞かれることは
インタビューされる側にとっては煩わしいものでしょう。
これは営業訪問を受ける企業にとっても同じ事だと思います。
基本的なことは調査して、お客様との打ち合わせ時間は有意義に使いたいものです。

そして最後に本題のバーナム効果に言及するわけですが、
上の例文を書いていて

「こんな提案書を見たことある気がするぞ」

と思いました。私は業務内容的に提案書を頻繁に頂く立場にありません。
まれにソフトウェアの展示会のようなところに行くと、誰に当てたわけでもないような
提案書が机に積まれており、呼び止められたりですとか
ノベルティ欲しさにこちらから話しかけたりすると
そこで製品メリットなどの説明を受けることになります。

これらは相手とする企業像が見えない状態で提案書を作り、
だれかれ構わずばらまかなくてはなりませんので、
期せずしてバーナム効果と同じ現象が発生します。
すなわち、「誰が読んでも当てはまるような気持ちになる」提案書です。

これはホット/コールド・リーディングと同じく効果的と言えます。
しかしそう言えるのは展示会やインターネット経由で不特定多数に送信する場合の話です。

このような提案書を、本当に説得したいお客様に対して
使いまわしで持って行ってしまう場合に、私は大きな問題が
発生するのではないか?と考えています。

それは提案書で「メリット」とされるような内容を絶対評価する場合に発生します。
メリットとされることがすべて100点満点の60から70点くらいに
落ち着いてしまうのではないか?と思われるからです。
複数の企業から提案書をもらった場合は優劣をつけます。
感情に正直に決める場合もあると思われますが、数値化して定量的に
判断を行うということが多いでしょう。それが重要項目の平均点で評価されるか、
最重要項目での最高点で評価されるかは企業次第ですが、
どちらのケースでも不利になることが予想されます。

ここのところはやはり、事前の情報入手と念入りなヒアリングにより、
お客様の気になるところを一点集中で突破できる提案書に劣るのではないでしょうか?
提案書を書くときは、バーナム効果が発現していないことを確認したいものです。

そういうわけで、私は六星占術で言うと何の星なのかも知りませんし
オーラも見えませんので信じません。きっとどす黒いオーラが出てると言われるでしょう。
どうせ前世だってカビか何かの真核生物でもないような生物ですよーだ!というお話でした。

私にもいつかは誰かにインタビューされるような日が来るのでしょうか?

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する