見えていない商機を見える化する
コンビニでレジにおにぎりやジュースを持っていったときに、
店員さんがこちらをちらっと見る瞬間があります。
あれは接客としてやっているという面もありますが、
「20代男性」ですとか「子供」などというように
客層を登録するために年齢・性別を確認するための
チラ見である可能性が高いです。少なくとも私のバイト時代はそうでした。
そのようにして集めた情報は、メーカに還元されて
次の商品開発に活用されたりします。
私は最近までこれで十分だろうと思っていました。
それが間違いであるということを知りました。
年齢をもっと細かくするという話ではありません。
最近電子マネーやクレジットカードで個人の情報と結びつけて
支払をさせることができます。しかし1歳刻みでデータを取っても
劇的に効果が出ることではないと思います。
26歳におにぎりがバカ売れで27歳はサンドイッチということはないでしょう。
このエントリのタイトルは「見えていない商機を見える化する」です。
その鍵を握るのは最近ひっぱりだこのICタグでした。
ICタグを商品に埋め込み、アンテナを50センチ間隔などで
天井や床に用意しておくことで、お客さん達の
「迷い」
をデータ化できるということです。
コンビニで例を挙げます。
多くのコンビニではお茶とお弁当のコーナーは離れています。
お客さんが先にお茶を選びに行ったとします。
アニメキャラクターのボトルキャップがおまけについていたことから
新製品のお茶を選びました。そしてお弁当の売り場に行きます。
スタミナたっぷりのお弁当がおいしそうなので手に取りました、が、
新製品のお茶と相性が悪そうだったのでやめました。
最終的にお寿司を選びました。
または反対に、ヘルシーそうなお弁当を選びましたが
ジュース売り場に行ったらどうしても砂糖たっぷりの炭酸飲料が飲みたくなりました。
それならお弁当で我慢するのもあほらしいのでヘルシーな弁当を戻して
ガツンとヘビーなお弁当を食べました。
このような事例をICタグでキャッチすれば、
「迷った挙句やめた商品の組み合わせ」というデータを得る事ができます。
(そのようなデータ収集をやってもいいかどうかは別として)
1つ目の例では、
POSで集計すると「新製品のお茶はお寿司との組み合わせで売れる」ことがわかります。
ICタグを使うとは「新製品のお茶はスタミナ弁当との相性が悪い」ということがわかります。
2つ目の例では
POSで集計すると「炭酸飲料はスタミナ弁当との組み合わせで売れる」ことがわかります。
ICタグを使うとは「炭酸飲料はヘルシー弁当との相性が悪い」ということがわかります。
従来のPOSデータからでもよく売れる組み合わせになるように
お弁当とジュースのおき方を工夫することはできます。
しかし本格的にプッシュしたいお弁当がある場合に、
敢えてそれと相性の悪い飲料を除外するというデータは得られにくいです。
あるお茶を取ると、あるお弁当を売り場に戻すような関係を表すデータは、
これまで人力で観察するしか集める事ができなかったデータです。
これが絶大な威力を発揮するのは服飾業界だと言われています。
試着室に良く持ち込まれる組み合わせなのに、売れない。
そのような組み合わせがあるとお客さんの回転や
店員の配置の効率化に悪影響が出ます。
その服同士を離してディスプレイすることで、その組み合わせを試すお客さんが減ります。
効率も良くなりますし、「このお店の服はいまいち合わないなー」と言うことを思われずに済みます。
売れていない商品は「売れていない」と一律にカテゴライズすることなく、
「試着室には持ち込まれるが売れていない」
「手には取られるが試着はされない」
「手にも取られない」
などの分類が可能になります。
売れている商品も「ヒット商品」とカテゴライズすることなく、
「試着した上で売れている」
「レジ近くに置いたら試着もせずに『ついで買い』される」
「来店して間もなく単品で指名買いされる」
などの分類が可能になります。
カゴにもICタグを入れると店内の動線や滞在時間を把握することができます。
コンビニの店内配置は外から見える位置に書籍があり、
突き当たりにジュースがあり、レジ近くに弁当がある等のセッティングを多く見かけますが、
ICタグの普及によりその配置もガラリと変わるかもしれません。