米軍史上最多160人を射殺したクリス・カイルに見る、生き様として"羊"と"狼"と"番犬"のどれを選択するか?
「アメリカン・スナイパー」の試写会に参加させていただきました。
イラク戦争で米軍史上最多、160人を射殺したクリス・カイルという実在の人物を描いた作品。
ISLSの人質問題では日本人の犠牲者もでており、こういうタイミングでの公開は賛否両論が予想されるところ。
やはり米国でも戦争とはいえ160人もの人を殺した人物を英雄視するのか?という疑問や批判もあり、この話題性からか興行収入はスピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」を抜いて300億円以上の成績を上げているらしい。
クリス・カイルの信念に共感できる人、出来ない人両方いると思う。
ただ、アメリカはこういう信念を持つ人達が戦争に自ら志願しているという事、そしてその多くの人はその戦争体験から肉体的なケガだけでなくPTSDのようなダメージを受け、壊れてしまう人も多くいることを観客は知ることとなる。
劇中、イラク戦争について米国の国内で報道されていないことにクリス・カイルが不満を漏らすシーンが印象的。
監督はクリント・イーストウッドは「この映画を通じて、兵士たちと彼らの家族がどれだけの犠牲を払っているかということを人々が思い出し、祖国のためにあまりにも多くを捧げてきた人々に対して、今以上に感謝するようになればいい」と語っている。
このように軍隊を派遣している米国でもこういう課題があるとは考えさせられるものがある。
この映画を人殺しを美化していると批判するのは簡単ですが、クリス・カイルの奥さんのパンフレットに紹介されているコメントは心を打たれるものがあります。
私はこういう話しを聞いたことがあります。帰還兵に手を差し伸べると、彼らは両手でしがみつこうとはしない。彼らは片方の手でその手をつかむと、もう一方の手を自分の後ろにいる兵を引っ張り上げるために使うと。
PTSDに悩む帰還兵、退役兵のためのNPO団体「FITCO Cares Foundation」を設立。社会復帰に向けた支援活動に取り組んでいたクリス・カイル。
この週末に公開される映画を見る前か、後かは皆さんが判断される事として、冒頭に申し上げたようにこの映画は実在の人物を描いたものなので、WikipediaやYoutubeを参照してもらうと、彼の人生がどのようなものであったかを知ってもらうことで何倍にも得られるものがあるかと思います。
このような人生があり、生き様として"羊"と"狼"と"番犬"のどれを選ぶのかを考えてみるのも有意義な時間になるのではないでしょうか。