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いいものはいいと素直に受け入れ、理想に向かって努力する「ヤンチャ」な日々

船乗りになるための学校に通っていました

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番長さんが紹介してくださったとおり、船に乗っていたことがあります。でも、船乗りを職業にしていたのではなく、東京商船大学という船乗りになるための学校に通っていただけです。現在、東京商船大学は、東京水産大学と統合されて東京海洋大学と名称を変えています。

私が在籍していた頃の東京商船大学は、1学年の学生数が160名、全寮制、卒業までの期間が4年半という、一般的な大学とはかなり異なる学校でした。学部は商船学部 1つだけ、学科も航海学科と機関学科の2つ。私は、機関士や機関長を養成する機関学科にいました。ちなみに、航海学科は航海士や船長を養成する学科です。

卒業までに必要とされる最短期間が4年半であったのは、大学の修士課程を管理する役所が文部省(現在の文部科学省)、船乗りに必要な海技士免状を管理する役所が運輸省(現在の国土交通省)と分かれていて、修士課程の科目履修に加えて海技士免状を得るための実務経験が1年間必要だったためです。海技士免状のための実務経験は、1年生、2年生、3年生のときに1か月間ずつの乗船実習、4年生のときに6か月間の乗船実習と3か月間の造船所勤務で取得しました。このあたりの現状については、航海訓練所の説明を見ていただくとわかります。

乗船実習では、船に設置されているディーゼルエンジン、蒸気タービン、ボイラ、発電機、各種ポンプやモーター、油水分離器などの機器を運用し整備しながら、日本各地の港をまわる日々を過ごしました。まわった港は、東京、横浜、神戸はもちろん、北は函館や小樽、南は鹿児島や長崎、奄美大島や佐渡島にも立ち寄りました。4年生での6か月間におよぶ乗船実習では、日本国内に加えてニュージーランドとニューカレドニアへの遠洋航海も経験しました。

また、乗船実習中は、1日が4時間ごとに6つのブロックに分けられ、当直、講義、就寝などを繰り返していました。これは、船の運航中はもちろん、港での停泊中も繰り返され、上陸許可がないかぎり船から下りられませんでした。こんな乗船実習の間にさまざまな経験をしました。夜の船尾から見た夜光虫の輝きは妖しく、海に帰れと誘っているようでした。太平洋の真ん中での退船操練で波の谷間に入ったときには、青く高い海水の壁に四方を囲まれ、母船はまったく見えませんでした。遠くに見える海岸の明かりはもの悲しく懐かしいものでしたし、悪天候のなかで大きく傾いたまま進んだ夜間航行は見知らぬものに挑むようでした。

そして、狭い船内で常に顔をつきあわせて生活した同級生とは、短い期間でしたが大変に親密な時間を過ごしました。いまでも、彼らと会えば当時と同じように酒を飲み笑い合えます。彼らは、私にとって大事な友だちです。

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