バイオ燃料を科学から論じると
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小林さんのシロクマ日報でも触れられていますが、石油(正確にはガソリンや軽油?)の代替燃料としてのバイオエタノールが注目されるとともに、批判的な意見が多く目に付くようになりました。断片的な情報が多く、全体像をなかなかつかめないことも問題ですが、そんな中で科学の側からの意見が、日経サイエンスの7月号に載っていましたので主旨のみ紹介させていただこうと思います。
塩谷先生の「化学世評」という記事ですが、これによると「バイオ燃料」という言葉は四半世紀前にブラジルで既に一度話題になった時期があるそうで、その時期の「バイオ燃料」の考え方と現在の考え方の違いに触れ、安易なバイオ燃料への傾倒に警鐘を鳴らしています。今のバイオ燃料は、本来食料として利用する糖分を微生物の力でアルコールに変え、蒸留して燃料にするものですが、以前のバイオ燃料のアプローチは、糖分を絞りきった後(つまりサトウキビであれば砂糖をとったあと)の食料にならない農産廃棄物を燃料に変えるプロジェクトだったそうです。
本来あるべきバイオ燃料は、わらや廃材、トウモロコシの葉や茎などのセルロースからエタノールを作るべきで、人間が食料として摂取できるでんぷんや糖分を使用して作るものではない、と述べられています。
バイオ燃料がブームになり、農産物を食料と燃料で奪い合い状況は、どう考えても不自然です。テレビや雑誌の断片情報のみで、本質的な状況がよく解らない状態で、環境問題の騒ぎと共にバイオ燃料が語られ、結局花開かないままで中途半端に捨てられる技術にならないことをせつに願います。
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