IT企業の限界② 「とにかくプロジェクト推進・管理ができない」
最近の大手さんを含めたSI会社の傾向として、プロジェクト管理ができないという弱みがあります。
確かに開発方法も変わっていますし、今までのプロジェクト管理の方法を単純に適用するだけではプロジェクト管理を適切に行うことが難しいのは事実です。また、その一方でプロジェクト管理要員が不足しており、かつ大規模プロジェクトが相対的に少なくなっていますので、専任で管理を行った経験のある人が少なくなってしまっていることも原因として挙げられます。
但しそれ以前の問題として、仕事を進めていくために、状況を適切に報告する方法自体が身についていないのではと感じます。その原因は一つは社内のレビュー、管理におけるチェックの甘さ、もう一つは他社をパートナーとして使う場合にその管理を行う方法の甘さがあります。自らが管理される場合と、自らが管理する場合両方の経験で報告内容の確認、正確な報告が出来ていないということが根底の問題だと思います。
その原因としてはメールでの断片的なやりとりでの確認が主体となり、打合せでの細かいやりとり、報告書形式での報告を行う時間が短くなっていることだと思います。いくつか火を吹いたプロジェクトのお話を聞いても、メールでの指示と確認を行っているだけでコミュニケーションが成立していないものや、コミュニケーションもとるのだけどとりあえずメールはプロジェクト関係者全員に送付して殆どが読み飛ばされている状況など、明らかにプロジェクト管理方法論以前の問題だと思われる原因によりプロジェクトが破綻しています。
それと表裏一体で、プロジェクト管理の中でもプロジェクト推進、リードがとれる人もさらに少なくなっています。細部までを俯瞰して、歪みを察知して確認をとり指示を出す。そのために、こまめにコミュニケーションを行うという基本がまったくできていない人をたびたび見かけます。自社内の調整や報告に時間をとられたり、お客様の相手で大変だったりいろいろ理由はあるにしても、プロジェクト推進(リード)は責任者であるため、歪みを取り除き、未決事項を決定し、必要に応じて自ら動くという能動的な管理は必要なはずです。
プロジェクトリードが中間管理職であることも原因の一つであるかもしれません。プロジェクト管理やリードは本来専門職であり、ラインの仕事を行う人では無いはずですが、その部分がよく理解できていない経営者が多いようです。
このままの流れでは、時間が経つにつれプロジェクト品質は低下すると想定されます。プロジェクトだけでなく、その流れで設計しているお客様の業務も含め効率が悪くなり最終的には日本の競争力の問題になるのではないでしょうか。
日本のSI会社も時間をかけて再度プロジェクトをリードする人間を育てる、プロジェクト管理の方法論を含め見直しをかけ、必要に応じて専門のプロジェクト管理・推進者を自社のプロジェクトに入れて、自らのやり方を見直す時期が来ていると感じています。