コンサルティングサービスにおけるPDCAについて。
コンサルティングサービスは本来、クライアント企業にとって「一時的な技術調達」であることを常に意識する必要があります。
必要な期間だけ、必要な質と量の「知恵」を提供する仕事であることを決して忘れてはならないのです。
そのために我々は日々、己を一生懸命磨き続けます。ただ、その活動の「PDCA」は通常言われているPDCAの定義とは違うと考えています。
Promotion(営業・提案)
顧客候補を常に開拓し、デマンド(要求)を理解し、サービスを開発、見込み顧客を選定して提案機会を勝ち取り、そして案件を獲得する
Delivery(成果創出)
顧客が要望する成果を、期待値を常に少しだけ上回るように創出し、QCDを満たした「価値」として提供し、信頼を勝ち取る
Continuation(案件継続)
顧客との信頼関係構築後、案件の継続、そして拡販や新規案件への転換を達成、ただし無理な延命はせず、引くべきときには潔く引き上げる
Assessment(ふりかえり)
活動や情勢を定期的にふりかえり、サービス向上や作業合理化に努め、常に自己研鑽を繰り返し、業界の存在価値を高め、競合他社との差別化を図る
30年以上コンサルティング業界にのみ携わり、一般的な事業会社には勤めた経験のない私に、あれこれ言う資格はないのかも知れないのですが(苦笑)、クライアント企業が自力で困難を乗り越えることができるなら存在価値はないのが当業界です。必要あって依頼が来るから仕事する。
言い過ぎかも知れませんが、警察や消防とまま同じな気がします。最近地元の町会役員になり、消防団派生のミニポンプ隊という「町会員=住民自ら自分たちを守る"自助・共助"活動をする」活動に参加していますが、本当の災害時に、ミニポンプで延焼防止はできても消化鎮火まではできるはずもなく、最終的には消防・警察の助けなしに我々は生き延びることはできないなとあらためて痛感します。
同様、自前(クライアント)でできることはやるけど、どうしようもなくなったらプロ(コンサルタント)に助けを乞う。依頼がきたら全力で任務を全うするのです。経験的に、そこには「自前で調達できない技術や経験が欲しい」か「かかる時間を惜しみたい」からお金を出してコンサルタントを雇う動機が成立します。
我々も商売ではありますので、「Promotion」は必要なだけ行いますが、それに並行して、助けて!って言われたときに助ける術を持ち磨き続けていなければ仕事人の資格がありません。サンダーバードみたいなものです(苦笑)。※
助ける側も多少の営業は必要なのです。適度に巡回してトラブルを検知し、火種が大火事になる前に警告し、必要なら助け船を出すのも仕事、大火事になってから「助けて!」って言われたときも躊躇せずに火傷覚悟で現場を立て直すのも仕事です。そして当然の結果を出したのちに、ふりかえりを行い自身のスキルを磨き直し、次の任務に備えるのです。
「いろんな企業の悩みを助けてあげられる存在になりたい」というのがコンサルティング業に就業する人達の基本動機だと思うのですが、その仕事を常に全うするために自己研鑽を強く継続することがMUSTだと思います。最近、当業界のPDCAの現状課題分析や変革機会の整理を進めていますが、自戒も込めて言うと、、、なかなかこのPDCAでの必要スキル醸成をストイックに突き詰めていけている人が、業界にどれだけいるんだろうと心配にもなってきます。多くのコンサルタントはおそらく、経験機会は放っておいても自分に巡ってくる、それをこなしながらOJT的に自分を磨いていけばいい、って考えている気がしてなりません。OJTを否定はしませんが、OJT志向に行き過ぎると、あくまで特定クライアントの案件固有の要件とか期待値みたいなものが成長の物差しになってしまい、サービス提供スキル醸成の観点では、汎用的だったり標準化だったりという視点が欠落することが危惧されるのです。
その葛藤とこれからも戦っていきたいな、当業界をもっと変革していきたいな、と思う次第です。。
※国際救助隊という割には一度に1依頼しか捌けない点がかれこれ50年近く、気になっています(笑)