昼休みに打ち合わせと呼ばれた時は、大抵悪い話なんだよね。
午前中も午後も夕方や夜もたくさん会議が入る毎日。
11時からと13時から会議が入る日なんて、お昼ご飯も食べれないかも知れない。移動時間がありえるからだ。
たまに、その昼休みに会議することがある。個人的にはあまりやりたくない。というのは、外資系勤めの場合、その時間帯は悪い話に使うことが多いからだ。
経験範囲で言うのだが、例えばリストラの通告は大体にして昼休みが多かった。
友人の体験談を例にする。当人は上級管理職。
当日朝、米国等本社からメールや架電にて、「今日中に3人、リストラするように」。容赦ない要求が受電される。頭を抱える友人。
職務なので仕方なく、3人をリストアップし、ハイヤーを手配する。このタクシーは、リストラされた人を自宅まで送り届ける車だ。
そして、昼休みに一人一人、自室へ呼ぶ。
「大変心苦しいのですが、今日この時間をもって、貴方にお辞めいただきます」
自席に戻ることは許されない。情報セキュリティの問題からだ。漏えいを防ぐため、通告と同時に、正確には昼休みに入った時点で、メールやファイルサーバへのアクセスが不可になっている。
通達された人は当然動揺するわけで、それをなだめるようにいろいろ精いっぱいの工夫で話しかけ、いくらか落ち着いてもらったところで、
「下にタクシーが待っているので、人事の案内に従い、そのままご帰宅ください。自席の荷物は当社で仕分けして、個人用と思われるものを今日中に急ぎ便でご自宅に配送します。今まで当社のために働いてくださり、ありがとうございました」
たまに怒り絶叫する人もいるらしい。とにかくその人は社外に誘導され、タクシーへ乗り、道路の先へ消えていく。
私がいる業界の外資系ファームでは、ここまでスパッと切られるケースは極めて少ない。が、クライアントである外資系ファームでは、正直よくある話だ。
私がお仕えしていたクライアント先でも一度、不正取引をふせていた役員が或る朝に発覚し、その人も社長に昼休みに呼ばれてクビになった。昼休みに呼ばれた時点で(多分、だろうなあ・・・)とは思っていたが、ランチから帰ってきたら、その役員室の中はキレイに空っぽになっていて、出入口の表札もなくなっていた・・・
予兆を感じ取れる人も少なくないらしい。或る客先では、
「今日、貴方とこの会社で、この会議室で会うのは、これが最後のようです。お元気で。またどこかで会いましょう」
そして、翌週にその人もいなくなった。
そんなよろしくない思いでの時間帯に会議をするのは、正直気がひける。
だからなのか、どうしても打ち合わせを昼休みに、となる場合、なぜか、なぜか自然と、内容は悪い話の打ち合わせが入るのだ。体験があってもなくても、そもそも気が重いテーマ、憔悴した出席者達・・・
だから、できるだけ、昼休みには打ち合わせを入れたくない。今年もできるだけそうありたいものだ。。。