作文が下手だとどんなに絵が上手でもクライアントは満足しない
いろんな能力についてそうなんだろうとも思いますが、自分が若年層だったときのスキルレベルを考えれば、最近の若いコンサルタント達の「お絵描き」力はたいしたもんだと思います。レイアウトや図形・文字、配色やフォントの使い方とか、それを教えた人の好みも反映されているでしょうが、基本的にヴィジュアルが非常に凝っていて、今の自分ですら感心させられることもしばしばです。
ただ、
作文力、つまり文章の洗練さについては、
まだまだ、いや、昔よりむしろ未熟?じゃないかと思いますね。
ヴィジュアルに対する工夫は昔よりも上手ですが、文章は非常に下手です。残念ながら文章で感心させられたことは一度もないな。Generation Gap的な言い方をすると、経験年数で3年以上後輩であってもヴィジュアルで感心させられることは結構ありますが、一方で、3年以上後輩になったらもう作文力で自分を感動させてくれる人は(少なくとも周囲では)皆無ですね。
繊細な工夫を教えなかった私達先輩にも大きな責任があると感じています。
一方で、絵心についてはその技能を芸術的に極めてやろうと意欲的な人が多いのに比べ、作文力をもっともっと磨きこもうと意識している人は、やっぱり少ないんだなあという感触です。
作文には、ヴィジュアルほどに多彩な工夫や創造的に改良できたという達成感はないかも知れません。しかし、絵だけではメッセージは伝えられません。あくまでヴィジュアルは補助的手段であり、口を使って言葉を発しない限りは、伝えたい言葉はその資料に書かれた「作文」で正確に表現されるものなのです。ヴィジュアルがかっこいいと時々ついだまされてしまいますが、作文が下手だと、やっぱり私はクライアントにそれを出すことをとてもためらってしまいます。
話し終わったあとは、その紙に書いてある作文すなわち「言葉」がずっとクライアント先に残り続けます。思い出してもらう、ふりかえってもらうときも、その「言葉」からクライアントが再度連想するんです。
話す前に資料だけ提示なんてときはもっと厳しい。クライアントはその書いてある「言葉」から連想します。作文が明快でなければ誤解したり変な意志を感じ取ったりされてしまう。下手をすればその時点でプレゼン機会がキャンセルされたりするかも知れない。実際入札案件では提出した提案書の評価でプレゼン機会対象社に選抜されないとそこで終わりだったりします。
作文はすごい大事なんだ。
誤字・脱字は別の問題、それは一定解消されている前提で、
言葉遣いの丁寧さ、簡潔さ等、実際プレゼンするときのトーク内容およびそこに込める熱意がちゃんと表現されているか、チェックした上で「完成」したと思っているんだろうか。
主語や目的語がはっきり明記あるいは間違えなく連想できるような文章になっているか。
「読み物」であるべき文書である場合は、読みやすい句読点や行間、余白の工夫がされているだろうか。
フォントのサイズ、書体は読みやすいか。また印刷物とプロジェクタ投影とで見栄えが違うこともわかって選択しているか。
相手の好みや制限事項も考慮したか(クライアントの好みのフォントやカラーリング、ご年齢等から来る読み易いサイズ)。
いっぱい、いっぱーい、工夫すべきことがある。できる工夫のポイントがある。絵心以上に。
僕は、まず文章でクライアントを感動させたい。
(えー、絵心は普通ですと言ってる気が自分でもしますが・・・苦笑)