「安売り」がマーケットを壊す
ここ3年間ずっと「閉店セール」の洋品店が近所にありまして、また別の近くには、通年にわたり「ご愛顧にこたえて今だけ半額セール!」のステーキ屋があります。(笑)
ちなみにこのステーキ屋、値段半額と思えば実はなかなかおいしいので、いつも行列です。
こういう消費者産業ではまあいいのかも知れませんが、コンサルティングの世界ではちょっといろんな「各社の常識」があり、こういうSCENEをみると、少々複雑な気分でもあります。
そもそもは、定価設定の問題です。
定価、正価というのは、いくらかその会社にきちんとしたロジックがあって、設定されているものです。
目標収益や利益率、稼動率に経費や営業費に販促費等間接コスト、さらには親会社がある企業なら上納金(悪い意味じゃなくて^^;)とか、・・・いろいろ試算して設定されたもののはずです。
これが、いわゆるコンサルタント報酬額で、それなりに「高い」ロジックのはずなのに、
4割引とか半額とか、常に結構大きなディスカウントでDeal Close(受注)を狙ってくる会社が存在します。
個人的には、戦略もいろいろあろうとは思いますが、正直は不愉快ですね。
大きく値引くのが常態化したら、そもそも正価の意義が疑わしくクライアント層に誤解されると思います。
スーパー等小売でも、定価を高くみせて実売はそこからかなり常時ディスカウントし、「買い得感」を餌に販売する手法は禁じ手になっています。
コンサルティングセールスの場合、真面目なお客様の反応として、3点ほど大事なポイントがあげられます。
1.「大きく値引きできるくらいなら、最初から実売価格あたりを定価にすればいいじゃん。」
2.「もし値引き要求しなかったら、これ幸いとその高い定価でボッタくりするつもりかよ!」
3.「そんなに値引きできるなら、言えば今後ももっと値下げしてくれるのかな♪」
どれもいい印象ではありません。
個人のお給料をあげてあげるためにも、本来は年々この「正価」の見直し、つまり値上げを検討します。毎年、それはツライ、価格交渉を各お客様とするわけです。
昨年から継続しているお客様に、取組継続中なのに、個別契約の切り替えタイミングで「値上げ」についてお願いする。
昨年取引関係のあったお客様に、今年あらたな取り組みに対しては、「値上げ」された価格で提案する。
大変です。大半は納得していただけず、据え置きとしたり、あるいは関係がこじれてしまったり、と、苦労のテーマです。まさに。
なので、
ルール違反とは思わないが、ビッグ・ディスカウントを価格戦略に据えているファームは、できればその戦略は再検討していただきたい。
不当・不誠実はもちろんいけないけれど、
「高いけど、『かなり良いモノ』なので。だから、買う」
これがコンサルティングビジネスの基本だと思います。安い方がお客様にとってはお得なわけですが、だからといって、「高い」と思われること自体が悪でもない。
「極上の人・サービスなので、買うにはそれなりに、決して安くない投資が要る。が、それはむしろ当たり前。」
というアピールは浸透させていきたいし、それくらいのクオリティにこの業界を維持していきたいです。